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佐和周のブログ

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法:電子取引に関する記事まとめ

ここ最近、電子帳簿保存法の電子取引の制度に関する記事を書いてきました。

そこそこの記事数があるので、ここまでに書いた記事をまとめたいと思います。

 

0. 2022年1月~2023年12月における電子取引の取扱い(2022年7月追記)

2021年の年末にかけて色々とあったので、とりあえず現状の電子取引の取扱いは以下の記事にまとめてあります。

【確定版】2022年1月1日以後の電子取引の取扱い(電子帳簿保存法)

この取扱いは2023年12月末まで続くので、まずはこの記事をご参照頂ければと思います。

ちなみに、端的には国税庁のパンフレットに書いてあるとおりです(以下)。

令和5年12 月31 日までに行う電子取引については、保存すべき電子データをプリントアウトして保存し、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば差し支えありません(事前申請等は不要)。令和6年1月からは保存要件に従った電子データの保存が必要ですので、そのために必要な準備をお願いします。

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1. 令和3年度税制改正後の電子取引の制度

下記2.の宥恕規定を無視すると、令和3年度税制改正が適用される2022年(令和4年)1月1日以後に行う電子取引については、電子的に受け取った請求書や領収書等をデータのまま保存する必要があります。

逆にいうと、それを出力した書面等の保存はNGということで、要約すると「めんどくさい」ということです。

このあたりは、以下の記事でまとめています。

電子帳簿保存法:令和3年度税制改正後の電子取引の制度
電子帳簿保存法:2022年3月期における電子取引の取扱い
電子帳簿保存法(電子取引):電子メールによる取引情報の授受

例として、メール(電子メール)で請求書なんかをやりとりするだけで、電子取引に該当するというお話をしました。

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2. 電子取引のデータ保存に係る宥恕措置(2022年7月追記)

上記1.のとおり、もともと2022年(令和4年)1月1日以後に行う電子取引については、データ保存が必要で、紙保存は不可になる予定でしたが、あまりにも企業の準備が進んでいないので、宥恕規定の適用により、実質的に2年延期(猶予)になっています。

その経過(=ゴタゴタ)も含めて、以下のように(時系列で)まとめています。

電子帳簿保存法(電子取引):電子データの保存に係る宥恕規定
電子取引に関する衝撃の補足説明…紙保存は廃止されていない?
宥恕規定の改正で電子取引に係る紙保存の廃止は実質2年延期?(2021.12時点)
電子取引に係る宥恕措置における「やむを得ない事情」とは
施行規則の改正で電子取引に係る宥恕措置が反映されました

「やむを得ない事情」がそんなにやむを得なくないところなど、お楽しみ頂ければと思います。

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3. 電子取引の範囲と具体例(2022年7月一部追記)

電子取引の制度については、遅かれ早かれ対応が必要になりますが、電子取引の範囲については、以下のような記事を書きました。

電子帳簿保存法:データで保存すべき電子取引の範囲と具体例
電子帳簿保存法:従業員による経費立替は電子取引に該当するか
電子帳簿保存法:インターネット・バンキングによる振込等は電子取引に該当するか
電子帳簿保存法:e-Taxによるダイレクト納付等の電子納税は電子取引に該当するか
電子帳簿保存法(電子取引):EDI取引に係る留意事項
電子帳簿保存法(電子取引):領収書等データをダウンロードしないという選択肢の有無

従業員が経費を立て替えた場合も(企業の)電子取引に該当するので、例えば、従業員がウェブ上で何か買って、PDFの領収書をダウンロードしたら、それで立派な電子取引です。

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4. 電磁的記録の保存等を行う場合の要件

電子的に受け取った請求書や領収書等をデータのまま保存する場合、ただ保存するだけでは済みません。

すなわち、以下の4つ(または3つ)の要件を充足する形で保存する必要があります。

(1) 改竄防止措置
(2) システム概要書等の備付け(自社開発のプログラムを使用する場合)
(3) 見読可能装置の備付け等
(4) 検索機能の確保

要約すると、「めんどくさい」ということです。

それぞれの要件について、国税庁の電子帳簿保存法Q&A(一問一答)【電子取引関係】に沿う形で、具体的に見てきました。

(1) 改竄防止措置

1つ目の要件、改竄防止措置については、以下のいずれかの対応が必要です。

①タイムスタンプが付与されたデータを受領する
②速やかに(またはその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付与する
③データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステムまたは訂正削除ができないシステムを利用する
訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定、運用、備付けする

タイムスタンプ(主に②)については、以下の記事にまとめています。

電子帳簿保存法(電子取引):タイムスタンプをわかりやすく
電子帳簿保存法(電子取引):タイムスタンプはいつまでに付与すればいいか

より現実的な対応として、タイムスタンプ以外の③と④は、以下の記事にまとめています。

電子帳簿保存法(電子取引):タイムスタンプ以外の改竄防止措置
電子帳簿保存法(電子取引):訂正削除の防止に関する事務処理の規程

事務処理規程を作るのが、たぶん一番ラクです。

(2) システム概要書等の備付け

2つ目の要件、システム概要書等の備付けについては、自社開発のプログラムを使用する場合だけの要件なので、以下でさらっと書きました。

電子帳簿保存法(電子取引):システム概要書の備付け

(3) 見読可能装置の備付け等

3つ目の要件、見読可能装置の備付け等についても、普通は余裕で充足できるので、以下でさらっと書きました。

電子帳簿保存法(電子取引):ディスプレイやプリンタの性能・設置台数

(4) 検索機能の確保

問題は4つ目の要件、検索機能の確保です。

端的には、最低限、「取引年月日等」・「取引金額」・「取引先」を検索の条件として設定できる必要があります。

なので、システム対応しない場合(エクセル対応などの場合)も含めて、以下にまとめています。

電子帳簿保存法(電子取引):検索機能の確保
電子帳簿保存法(電子取引):システム対応しない場合の検索機能の確保(エクセル等)
電子帳簿保存法(電子取引):売上高1,000万円以下で検索機能が不要になる場合

あ、売上高が1,000万円以下の事業者については、この要件が不要となるというお話にも触れています。

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5. 最低限の対応(2022年7月一部追記)

ここまで、電子的に受け取った請求書や領収書等をデータのまま保存する場合、どういう要件を充足すればよいかを見てきました。

システム対応すれば、これらの要件の充足は難しくありませんが、できるだけ軽い対応で済ませたい場合も多いのではないでしょうか。

そこで、電子取引の制度に対する最低限の対応について書きました。

電子帳簿保存法:電子取引に関する最低限の対応(システム対応なし)

ちなみに、上記の記事は、以下の国税庁のQ&A(一問一答)の以下のQをベースにしています。

妻と2人で事業を営んでいる個人事業主です。取引の相手方から電子メールにPDFの請求書が添付されて送付されてきました。一般的なパソコンを使用しており、プリンタも持っていますが、特別な請求書等保存ソフトは使用していません。どのように保存しておけばよいですか。

なお、最後の手段は、電子データでのやり取りをゼロにする逆DX(?)です。

ちなみに、「最低限の対応」というニュアンスとは少し異なりますが、以下の記事も参考になると思います。

電子帳簿保存法:スマートフォンしかない場合の電子取引の制度対応

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6. 電子データの保存方法(2022年7月一部修正)

あとは、電子データの具体的な保存方法とか、そんなことも書きました。

電子帳簿保存法:電子取引の種類ごとの具体的なデータ保存方法
電子帳簿保存法(電子取引):データ保存の際のPDF変換やパスワード解除の可否
電子帳簿保存法:メールで受領したデータを訂正・削除の記録が残るシステムに保存できるか
電子帳簿保存法(電子取引):自社が発行した請求書データのデータベースにおける保存
電子帳簿保存法(電子取引):複数の請求書等が含まれるPDFファイルの分割の可否
電子帳簿保存法(電子取引):データのバックアップの要否

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7. 紙保存との関係など(2022年7月追記)

以下はちょっとマニア向けです。

電子帳簿保存法(電子取引):国税関係書類以外の書類とは
電子帳簿保存法(電子取引):同一取引の各証憑データは紐付ける必要があるか
電子帳簿保存法(電子取引):紙保存かデータ保存かよくわからないケース
電子帳簿保存法(電子取引):紙の請求書の内訳がデータのケース(最悪)

あまりオススメしませんが、タイトルから興味のある記事があればどうぞ。

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8. イレギュラー対応

で、最後に、ちょっと怖い話です。

電子帳簿保存法(電子取引):紙保存の場合の青色申告の承認の取消し
電子帳簿保存法(電子取引):電子データの改竄が行われた場合の重加算税

ちなみに、紙保存していて調査官に怒られるとき、その調査官がデジタルネイティブな感じなら、「はい、わかりました!」と素直に言えそうな気がします。

ただ、紙の化身というか紙文化の権化みたいな、昭和の香り漂う調査官に、「いやいや、時代はDXなんで」みたいに言われると、イラっときそう。

あとは、指摘する調査官の側も精神的にきつそう。そういう様子を見ると、こっちはまた悲しい気持ちにもなりそう。

言っても仕方ないことですが、この制度、何で強制なんだろうなとは思います。スキャナ保存みたいに選択できたらいいのに。

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9. 国税庁からの追加情報(2022年7月一部追記)

国税庁は「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」を改訂したり、それに関する「お問合せの多いご質問」を出したり、色々と頑張っておられるようです。

このうち、電子取引の制度に関係する情報は、以下にまとめています。

電子帳簿保存法(電子取引):国税庁が「お問合せの多いご質問(令和3年11月)」を公表
国税庁が電子帳簿保存法Q&A(一問一答)を改訂(2021年12月)
国税庁が電子帳簿保存法Q&A(一問一答)を改訂(2022年6月)…電子取引編

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10. 最後に

こうやって一通り書いてきて確信したのは、自分が全くこの分野に興味を持てないということです。

詳細な知識を入れる前から興味は持てなかったのですが、実務で調べ物をしたりして、ある程度詳しくなった今、さらに興味が持てなくなりました。

もちろん、仕事上は必要な知識なので、それを体系化するうえで、こうやって書いてきた時間は無駄ではなかったとは思います。

うーん、やっぱり無駄だったような気がしてきた。

なので、せめて、これが誰かの役に立つといいなと願っています。

企業で対応されている皆さんのご健闘を祈りつつ、今日はここまでです。

では、では。

電子帳簿保存法に関するオススメの書籍です(私の本ではないです。第2版の紹介記事はこちら)。

第3版 電子帳簿保存法の制度と実務(Amazon)

 

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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