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電子帳簿保存法

国税庁が電子帳簿保存法Q&A(一問一答)を改訂(2021年12月)

冬休みに入る前の最後、電子帳簿保存法における電子取引のお話で1つ追加です。

国税庁:「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」の改訂

国税庁は2021年12月28日、電子帳簿保存法Q&A(一問一答)を改訂しました(リンクは以下です)。

電子帳簿保存法Q&A(一問一答)~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~

よく働きますねー。「「お問合せの多いご質問(令和3年11月)」による追加問は、次回改訂時に反映します」とか書いてあって、いかにバタバタしたかを物語ってますね。つい同情してしまいます。

以下では、適用が迫っている(というか、もう今週から適用される)電子取引の制度の関係の情報をお伝えします。

電子取引関係:宥恕措置に関する4つの追加QA

細かな改訂箇所は他にもあるのですが、大きくは、昨日の施行規則の改正(電子取引の宥恕措置の整備)に伴って、それに関連するQが追加された感じです(宥恕規定自体についてはこちら)。

 

具体的には、問41の宥恕規定に関するQの後ろに、問41-2~41-5の4つのQが追加されました。

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以下では、それぞれの質問と回答(の要約)についてさらっと書きます。回答については、私が適当に要約したものなので、正確なところは元の資料をご覧ください。

問41-2(新しい情報あり)

問41-2
当面、電子取引の取引情報に係る電子データ保存への対応が間に合いませんが、どのような対応をすればいいでしょうか。

回答(適当な要約)
令和5年12 月31 日までに行う電子取引については、保存すべき電子データを書面に出力して保存し、税務調査等の際に提示または提出ができるようにしておけばセーフ。

ちなみに、(参考)として、以下の情報がありますが、これは新しい情報なので、結構有用だと思います。

この宥恕措置の適用にあたっては、保存要件に従って保存をすることができなかったことに関するやむを得ない事情を確認させていただく場合もありますが、仮に税務調査等の際に、税務職員から確認等があった場合には、各事業者における対応状況や今後の見通しなどを、具体的でなくても結構ですので適宜お知らせいただければ差し支えありません

(下線は追加)

具体的でなくても結構ですので」とは? この電子取引の制度、ほんと何だったんでしょうね。夢でも見てたのかな。。。

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問41-3(新しい情報あり)

問41-3
電子データを授受した場合であっても、令和5年12 月31 日までの間は、やむを得ない事情があれば、出力することにより作成した書面による保存が認められるのでしょうか。

回答(適当な要約)
納税地等の所轄税務署長がやむを得ない事情があると認め、かつ、保存義務者が税務調査等の際に、税務職員からの求めに応じ、その電子データを整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面の提示または提出をすることができる場合には、(その保存要件にかかわらず電子データの保存が可能となり、また、)その電子データの保存に代えてその電子データを出力することにより作成した書面による保存をすることも認められる。

ちなみに、(参考2)として、以下の情報があります。これも新しい情報ですが、全く有用ではなさそうです。

…規則第4条第3項ただし書((電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に関する宥恕措置))では、この宥恕措置における「やむを得ない事情」が生じなかった場合において、保存要件に従って電子データの保存をすることができなかったと認められるときは、この限りではないとされています。この規定が適用される場面としては、例えば、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報についても保存要件に従って電子データの保存を行わないことを明らかにしている場合等が該当します。

(下線は追加)

これ、国税庁の人が夜なべ(?)して書いてると思ったら、ちょっと笑えますね(笑ってはいけないですが)。

「令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報についても保存要件に従って電子データの保存を行わないことを明らかにしている」って、反抗期過ぎませんか?

なので、これから税務調査を受けられる企業の方は、「 令和6年1月1日以後 は、保存要件に従って電子データを保存するのかい? しないのかい? どっちなんだい?」と聞かれたら、「保存すーるー。パワー!」(きんに君)って答えないといけないってことですね。

あー、年末なのに疲れた。

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問41-4

問41-4
・やむを得ない事情が認められ、かつ、整然とした形式及び明瞭な状態で出力された書面の提示又は提出の求めに応じることができれば、電子データによる保存をしていなくても要件違反にならないとのことですが、「整然とした形式及び明瞭な状態で出力された書面」とはどのようなものでしょうか。
・また、「保存義務者が国税に関する法律の規定による当該電磁的記録を出力することにより作成した書面…の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている」とありますが、具体的にはどのような対応が求められるのでしょうか。

回答(適当な要約)
・前者については、書面により作成された場合に準じた規則性を有する形式で出力され、かつ、出力された文字を容易に識別することができる状態をいう。
・後者については、税務調査等の際に、税務職員の求めに応じ、その電子データを出力することにより作成した書面の提示または提出をする必要がある。

問41-5

問41-5
やむを得ない事情が認められ、かつ、出力することにより作成した書面の提示又は提出に応じることができれば、電子データによる保存をしていなくても要件違反にならないとのことですが、事前に税務署への申請等をすることは必要でしょうか。

回答(適当な要約)
税務署への事前の申請等は不要。必要に応じて税務調査等の際に確認する。
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最後に一言

最後に一言だけ。

こんなくだらない制度に対応させられ、挙句の果てに肩透かしを食らった企業の方々、本当にお疲れ様でした。

また、年の瀬にこんなくだらない改訂作業をさせられた国税庁の職員の皆さん、本当にお疲れ様でした。

(電子取引のデータ保存制度が始まる)2022年が、みんなにとっていい年になることを願っています。

では、では。

電子帳簿保存法に関するオススメの書籍です(私の本ではないです。第2版の紹介記事はこちら)。

第3版 電子帳簿保存法の制度と実務(Amazon)

 

■電子帳簿保存法の電子取引に関する記事の一覧はこちら

 

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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