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電子帳簿保存法(電子取引):国税庁が「お問合せの多いご質問(令和3年11月)」を公表

今日は週末ですが、もう1つ追加で、電子帳簿保存法における電子取引の制度のお話です。

1. 国税庁:「お問合せの多いご質問(令和3年11月)」の公表

国税庁は2021年11月12日、「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」に関する「お問合せの多いご質問(令和3年11月)」を公表しました(リンクは以下です)。

「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~」に関する「お問合せの多いご質問(令和3年11月)」

今回は、このうち、適用が迫っている電子取引の制度関係の情報のみを抜き出します。

2. 追加問答集

上記資料の位置付けとしては、「電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】、【スキャナ保存関係】、【電子取引関係】(令和3年7月版)」の公表後、質問の多かった事項を整理したものということで、追加問答集のような形になっています。

内容としては、上記のとおり、【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】・【スキャナ保存関係】・【電子取引関係】の3つがあるのですが、今日は、そのうち【電子取引関係】の部分を概観します。

次回改訂時の「電子帳簿保存法一問一答」に反映される予定みたいですが、もうすぐ制度が始まるので、とりあえずということで。

【2022年7月追記】
やっと反映されました。詳細は以下の記事をご参照ください。
国税庁が電子帳簿保存法Q&A(一問一答)を改訂(2022年6月)…電子取引編
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3. 電子取引関係:7つの追加質問

同資料のⅢ【電子取引関係】では、7つの追加質問があります。

以下では、それぞれの追加質問の内容と回答の要約をまとめています。回答については、私が適当に要約したものなので、正確なところは元の資料をご覧ください。

(1) 【制度の概要等】関係(紙と電子データの重複)

Q1
電子取引で受け取った取引情報について、同じ内容のものを書面でも受領した場合、書面が正本として取り扱うことを取り決めているときでも、電子データも保存する必要がありますか。
A1(適当な要約)
電子データと書面の内容が同一であり、書面を正本であれば、書面の保存のみで足りる。

(2) 【保存方法】関係(EDI の保存方法)

Q2
EDI 取引を行った場合、取引データそのものを保存する必要があるでしょうか、それともEDI 取引項目を他の保存システムに転送しPDF データ等により保存することも可能でしょうか。
A2(適当な要約)
相手方とやり取りしたデータそのもののみしか保存が認められないわけではない。EDI データについては、取引内容が変更されるおそれのない合理的な方法により編集されたデータにより保存することも可能(例えば、XML データを一覧表としてエクセル形式に変換するのは可)。ただし、手動により転記して別形式のデータを作成するのは不可。
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(3) 【検索機能】関係(メールの保存方法)

Q3
自社のメールシステムでは受領した取引情報に係る電子データについて検索機能を備えることができません。その場合に、メールの内容をPDF等にエクスポートし、検索機能等を備えた上で保存する方法でも認められますか。
A3(適当な要約)
認められる。

(4) 【検索機能】関係

Q4
検索要件の記録項目である「取引金額」については税抜、税込どちらとすべきでしょうか。
A4(適当な要約)
帳簿の処理方法(税込経理/税抜経理)に合わせるべき。ただし、受領した国税関係書類に記載されている取引金額を検索要件の記録項目とするのも可。

(5) 【検索機能】関係

Q5
例えば単価契約のように、取引金額が定められていない契約書や見積書等については、検索要件における「取引金額」をどのように設定すべきでしょうか。
A5(適当な要約)
記載すべき金額がない書類については、「取引金額」を空欄または0円と記載することでOK。ただし、空欄の場合、空欄を対象として検索できるようにしておく必要あり。
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(6) 【検索機能】関係(ダウンロードの求め)

Q6
「ダウンロードの求め」に応じることができるようにしておく場合の当該電磁的記録の提出について、提出の際のデータの形式や並び順について決まりがあるのでしょうか。また、保存媒体自体についても提示・提出の必要はあるのでしょうか。
A6(適当な要約)
税務調査の際に税務職員が確認可能な状態で提供されれば、形式や並び順は問わない(通常出力できるであろうファイル形式等で提供される必要あり)。また、「ダウンロードの求め」は、保存媒体自体の提示・提出までを求めるものではない(ただし、その保存媒体についても、質問検査権に基づく確認の対象となる場合がある)。

(7) 【その他】関係(留意事項)

Q7
電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、一度、出力して書面にしたものを、スキャナ保存することは認められますか。
A7(適当な要約)
認められない。
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4. 最後に一言

なお、その他、Ⅳ【補足説明】というものもありますが、これについては、以下の記事をご参照ください(個人的には衝撃の内容でした)。

 

ちなみに、上記のQ2はもうそういうふうに答えてて(危なかった)、Q3については、まさかとは思っていたのですが、ほんとにそんなことしないといけないんですね。

最後に一言だけ。

来週早々に電子取引関係の打ち合わせがあるのに、金曜日に新しい情報を出すのはやめてください。

今回はここまでです。

では、では。

電子帳簿保存法に関するオススメの書籍です(私の本ではないです。第2版の紹介記事はこちら)。

第3版 電子帳簿保存法の制度と実務(Amazon)

 

■電子帳簿保存法の電子取引に関する記事の一覧はこちら

 

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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