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電子帳簿保存法

電子帳簿保存法(電子取引):EDI取引に係る留意事項

引き続き、電子帳簿保存法における電子取引の制度のお話です。

2022年6月に改訂された「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」の関係で、今回はEDI取引に係る留意事項について書きます(一問一答の改訂自体についてはこちら)。

0. この記事のポイント

EDI取引について、取引情報として保存すべきデータは、実際に授受したデータそのものには限定されず、取引内容が変更されるおそれのない「合理的な方法」であれば、編集のうえで保存することも可能です。例えば、EDI取引項目を他のシステムに転送し、エクセルやPDFの形式で保存するのはOKです。一方、授受したデータを手動により転記して別形式のデータを作成する方法はNGです。

 

 

1. お問合せの多いご質問→Q&A(一問一答)

EDI取引を行った場合のデータ保存については、もともと疑問点が多かったのですが、昨年11月に公表された国税庁の「お問合せの多いご質問」で、少し明確化されました(以下の記事です)。

電子帳簿保存法(電子取引):国税庁が「お問合せの多いご質問(令和3年11月)」を公表 

今回、この情報がQ&A(一問一答)にも反映され、さらに別の情報が追加された感じです。

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2. EDI取引を行った場合のデータ保存のポイント

EDI取引のポイントは、電子取引の取引情報として保存すべきデータが、「EDI取引で実際に授受したデータそのものに限定されない」という点です。

Q&A(一問一答)によると、電子取引を行った場合、その取引情報に係る電磁的記録を保存する必要はあるものの、必ずしも相手方とやり取りしたデータそのものを保存しなければならないとは解されないとのことです。

逆にいうと、EDI取引で授受したデータについて、その取引内容が変更されるおそれのない「合理的な方法」であれば、編集のうえで保存することも可能ということになります。

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3. セーフのデータ保存とアウトのデータ保存

合理的な方法による編集というのは、例えば、EDI取引項目を他の保存システムに転送し、エクセル形式やPDF形式で保存するようなイメージですが、Q&A(一問一答)で挙げられている(セーフの)例は、以下のような感じです。

  • EDI取引においてデータをXML形式でやり取りしている場合であって、
  • 当該XML形式のデータを一覧表としてエクセル形式に変換して保存するときは、
  • その過程において取引内容が変更されていない限りは、合理的な方法により編集したものと考えられる(=当該エクセル形式のデータによる保存も認められる)
  • 逆にQ&A(一問一答)でアウトとされているのは、「授受したデータを手動により転記して別形式のデータを作成する方法」です。

    取引内容の変更可能性があるため、合理的に編集したものに当たらないそうです。

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    4. EDI取引のデータ保存時のコード変換の可否

    EDI取引については、Q&A(一問一答)でもう1つ、データ保存時のコード変換の可否というテーマが追加されています(以下のQです)。

     EDI取引において、相手方から受け取ったデータに記載されている又は含まれている各種コードについて、あらかじめ定めている変換テーブルを使用することによって、その内容を変更することなく自社のコードに変換して保存することは認められるでしょうか。
     例えば、EDI取引において、「税込」という情報を、相手方ではコード「1」とし他データで送付してきたものを、自社においてはコード「2」と変換した上で取り込んで保存することは認められますか。

    これに対するAですが、内容を一切変更することなくコードの表記のみを変更するのであれば、セーフとのことです。

    上でも書きましたが、必ずしも相手方とやり取りしたデータそのものを保存しなければならないわけではないので、合理的な編集ならOKということですね。

    ただし、条件が2つあります(以下です)。

    (1) 変換テーブルを使用し、コード変換が自動的に行われること(手動は不可)
    (2) 変換テーブルを併せて保存をしておくこと

    (1) 自動コード変換

    私は全然詳しくないですが、通常、EDI取引によりコードを変換しようとする場合は、事前に変換プロトコルの取り決めを行うことが一般的だそうです。

    上記(1)の条件を満たせば合理的な編集に該当するという点については、 変換プロトコルに沿ってコードを変更したデータであっても、授受したデータの内容を正確に表示できるものであれば、合理的な編集の範囲内と考えられる、というのがQ&A(一問一答)の考え方のようです。

    逆に手動が不可なのは、目視による手入力等が介在すると意図せず内容が変更されてしまうおそれがあるためです。

    (2) 変換テーブルの保存

    変換テーブル(プロトコル)の保存が必要なのは、当然のことですね。

    相手から受領したデータに係るコードについての確認が必要なので。

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    (3)  もう1つの方法

    ちなみに、Q&A(一問一答)では、別の方法として、「相手方から受領したデータを要件に従ってそのまま保存しておき、自社の管理の便宜によりデータを複製した上で加工して使用する方法」も可とされています。

    ただし、いずれの場合でも、税務調査の際には取引情報のコードが意味する内容を明確に説明できる必要があるということで。

    今日はここまでです。

    では、では。

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    ■電子帳簿保存法の電子取引に関する記事の一覧はこちら

     

    この記事を書いたのは…
    佐和 周(公認会計士・税理士)
    現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

     

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