第19回 無形資産の譲渡取引とDCF法:記事まとめ
ここまで、「無形資産の譲渡取引とDCF法」シリーズを18回にわたって見てきました。
今回は、最後にその18回分の記事をまとめてお伝えします。
Table of Contents
1. 移転価格税制におけるDCF法とは
このシリーズでは、まず、「移転価格税制におけるDCF法とは」というところを確認しました。
シンプルにいうと、「無形資産の使用等による予測利益の金額を一定の割引率を用いて現在価値として割り引いた金額の合計額を独立企業間価格とする方法」ということで、予測利益という用語はありますが、普通のDCF法と考えてOKです。
それを前提に、「こういうケースでDCF法を使います」という内容を確認しました。
2. DCF法の計算要素
DCF法における主要な計算要素としては、「予測利益」と「割引率」があります。
それぞれ、以下の記事で、内容を確認しました。
第4回 DCF法における「予測利益」の見積方法(移転価格税制)
3. DCF法の計算手順・結果・過程
DCF法の主要な計算要素を見たところで、次はケースの形でDCF法の実際の計算例を確認しました。
最初に計算手順を見て、その後、実際の数字を見る流れでした。
第6回 ケース:無形資産の譲渡取引とDCF法の計算手順(移転価格税制)
第7回 ケース:無形資産の譲渡取引とDCF法の計算プロセス(移転価格税制)
ついでに計算結果についてコメントしたり、計算でチェックされるポイントなんかも挙げました。
第8回 参考事例集におけるDCF法の計算結果について考える(移転価格税制)
第9回 DCF法の計算でチェックされるポイント(移転価格税制)
このあたりは、結構使える情報が入ってるんじゃないかと思います。個人的にもよく参照する箇所なので。
4. ローカルファイルの記載事項
「無形資産の譲渡取引とDCF法」シリーズでも、ローカルファイルの記載事項を確認しました
具体的には、ローカルファイルには、「法人がディスカウント・キャッシュ・フロー法等を選定した場合におけるこれらの方法により当該国外関連取引を行った時の現在価値として割り引いた金額の合計額を算出するための書類」が含まれます。
あと、それを補完する内容として、DCF法に関連して「法人が用いた予測の内容等」をローカルファイルにどう書くか、というお話にも触れました(それぞれ、以下の記事です)。
第10回 ローカルファイルの記載事項:DCF法を用いた場合の計算
第11回 ローカルファイルの記載事項:法人が用いた予測の内容等(DCF法)
5. 特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置
ちょっと余談として、以下の記事で、親子間の無形資産の持ち方の話とか、「評価が難しい無形資産を低税率国の子会社に安く移転して、所得を低税率国に付け替えようとする作戦」の話とかもしています。
特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置は、2019年度税制改正において導入されたものですが、端的には、上記の「評価が難しい無形資産を低税率国の子会社に安く移転して、所得を低税率国に付け替えようとする作戦」を封じるものです。
この措置は、特定無形資産国外関連取引に関して、取引後に対価算定の前提事項の内容と相違する事実が判明した場合に、「当初の特定無形資産国外関連取引の対価の額が適切に算定されていない」との推定のもと、再評価を行う仕組みなのですが、結構複雑です。
なので、各用語の定義に始まり、措置の内容を概観したり、詳細に見たりしながら、最後はケースの形で解説しました。
第14回 特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置をわかりやすく
第15回 特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置を詳しく
第16回 特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置の発動基準
第17回 特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置の適用免除基準
第18回 ケース:特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置が適用される場合
移転価格税制の英語
このシリーズでは、英語のお話は以下の1つだけです。
最後に
「無形資産の譲渡取引とDCF法」シリーズもこれでおしまいです。
明日からは、また別のテーマにしたいと思います。
では、では。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。