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佐和周のブログ

移転価格税制の基礎

第4回 DCF法における「予測利益」の見積方法(移転価格税制)

引き続き「無形資産の譲渡取引とDCF法」シリーズです。

前回は、無形資産の譲渡に対してディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)を使うケースを確認しました。

 

1. DCF法とは(再確認)

復習になりますが、DCF法は、無形資産などの使用等により生じる各事業年度の「予測利益」の金額について、合理的と認められる割引率を用いることにより、当該国外関連取引が行われた時の現在価値として割り引いた金額を合計して独立企業間価格を算定する方法をいいます。

これは移転価格税制に限りませんが、DCF法において最も重要なのは、将来キャッシュ・フローの見積りだと思います。移転価格税制でいえば、「予測利益」の見積りがこれに該当します。

2. 予測利益の見積方法

今回は、この「予測利益」の見積方法のお話です。

前回見たのは、日本親会社が海外子会社に特許権等の無形資産を譲渡するケースでしたが、そういうケースでは、その無形資産に係る予測利益の金額について、(1)TNMM的に見積もる方法と(2)PS法的に見積もる方法が考えられます。

(1) TNMM的に見積もる方法

1つ目は、無形資産の使用許諾取引に対して、TNMMを適用するのと同じような感じで、TNMM的に見積もる方法です。

この方法では、まず、国外関連取引に係る事業と同種の事業を営み、市場や事業規模等が類似しており、同程度の製造機能及び販売機能を有する他の法人(独自の機能を果たす法人を除く)をピックアップします。

この点は、通常の取引単位営業利益法と同じです。

そして、TNMMと同様の考え方で、国外関連者の機能に見合う「通常の予測利益」を計算し、これを超える国外関連者の残余の予測利益を「無形資産に係る予測利益」と考えるということです。

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(2) PS法的に見積もる方法

2つ目は、PS法的に見積もる方法です。

この方法では、日本親会社及び海外子会社の果たす機能等に照らして、双方が予測利益の発生に対して寄与する程度に基づき、国外関連取引に係る事業全体の予測利益を配分します。

そうすると、無形資産に係る予測利益として配分された金額が出てきます。

これをそのまま無形資産に係る予測利益の金額と考えるということで、考え方としては、こっちのほうがわかりやすいかもしれませんね。

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3. 前回のケースはどうだったのか

ちなみに、前回のケースでは、(1) TNMM的に見積もる方法で、予測利益を見積もっていました

少し振り返ると、前回のケースの海外子会社は、単純な製造販売機能しか有していなかったので、まずは海外子会社が特許権や製造ノウハウを有しない場合の海外子会社の機能に見合う通常の予測利益を計算しました。

そのうえで、製品Aの製造販売事業全体の予測利益からそれを控除し、残余の予測利益を当該特許権及び製造ノウハウに係る予測利益と考えたということです。

今日はここまでです。次回は、DCFのもう1つの重要な計算要素である割引率を見ていきます。

では、では。

■移転価格税制に関するトピックの一覧はこちら

 

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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