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移転価格税制

第26回 ローカルファイルの記載事項:利益分割法を用いた場合の計算

引き続き「利益分割法(PS法)」シリーズです。

いまは残余利益分割法について見ている途中ですが、これで一通り利益分割法の計算方法は確認たので、ここで少し移転価格文書(ローカルファイル)のことを考えておきたいと思います。

 

1. ローカルファイルに含まれる書類

ローカルファイルには、「利益分割法を選定した場合におけるこれらの方法により法人及び国外関連者に帰属するものとして計算した金額を算出するための書類」が含まれます。

つまり、利益分割法を選定した場合、ローカルファイルでは、法人及びその国外関連者に帰属する利益の計算の過程を説明する必要があります。

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2. ローカルファイルの記載事項(必要な情報)

この点について、例示集(国税庁 「独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル)作成に当たっての例示集」)では、必要な情報の例として、以下が挙げられています。

(1) 利益分割法の分割対象となる「合算損益」の算定に関する資料
…ここでいう「合算損益」とは、国外関連取引における両当事者の国外関連取引に係る損益を合算した財務数値をいいます。
…分割対象となる損益がそれぞれの財務諸表から切り出した損益である場合には、切り出した売上、売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費、営業損益並びに各項目の算出過程及び使用した財務データを含みます。また、切出損益の作成に当たり、個別に調整した項目がある場合にはその項目、調整方法及びその調整理由も必要になります。

(2) 分割対象損益または残余利益等を配分するために使用した「分割要因」及びその分割要因が法人または国外関連者のどの部署の何の費用なのかを記載した書類
…例えば、「法人の○○部署の人件費、○○製品に係る研究開発費」等の記載が想定されています。

(3) 分割要因が分割対象損益等の発生について寄与した程度を推測するに足りるものと判断した理由
【残余利益分割法を適用する場合】
(4) 基本的利益の算出過程及び使用した財務データ

…採用した利益水準指標、その利益水準指標を採用した理由及びその利益率の算出過程を含みます。

今日は、さっぱりとここまでです。次回は、ちょっとだけ話題を変えます。

では、では。

■移転価格税制に関するトピックの一覧はこちら

 

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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