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佐和周のブログ

移転価格税制の基礎

第27回 LSA(ロケーション・セービングやマーケット・プレミアム)について

すみません、今回は、このブログの趣旨に反して、ちょっと国税庁が出している情報から離れます

といっても、完全に離れるわけではありません。この話をしないと、今後お伝えする参考事例集の事例の意味合いが伝わらないという趣旨です。

今日お伝えするのは、いわゆるLSA(Location-Specific Advantage)です。

LSAとは

LSAは、直訳すると「地域固有の優位性」であり、ある地域に固有の市場の特徴や生産要素で、企業が他の地域で事業を行うよりも良い財務上の結果をもたらすものといえます。

ロケーション・セービングとマーケット・プレミアム

LSAとして代表的なのは、ロケーション・セービングやマーケット・プレミアムです。

ロケーション・セービングとは、低水準の人件費が典型ですが、コスト水準の低い地域で事業を行うことによるコスト削減をいいます。

また、マーケット・プレミアムは、その地域の成長市場へ参入や競争優位の獲得がもたらす超過利益をいいます。

LSAと移転価格税制の関係

これらのLSAがなぜ移転価格税制に関係するかというと、中国が典型だと思いますが、海外子会社(国外関連者)の利益水準が高い場合、現地の税務当局からLSAの存在を主張されるケースがあるからです。

上記のとおり、LSAは、その地域固有の優位性、言い換えると、現地のコスト水準やマーケットの状況を重視する考え方に基づいた概念ということです。

そのため、単純にいうと、現地の税務当局は、LSAによる利益を海外子会社に配分するよう主張してくるということです。

LSAに対する日本の税務当局のスタンス

これに対して、日本の税務当局は、LSAについて、基本的には比較対象取引の比較可能性の検討において考慮すべき事項と整理していると考えられます。

つまり、比較対象取引を市場などの差異が生じない範囲で選定しておけば、自動的に海外子会社に帰属する利益として計算されるということで、LSAだけを抜き出して議論する必要はないということです。

実際にLSAによる利益があったとしても、それを合理的に定量化することは、まず無理でしょうし。

LSAが議論になりやすい状況

あとは、現地の税務当局がLSAの存在を主張する前提として、海外子会社の利益水準が高いことがあると思います。もう少しいうと、単純に高いだけではなく、その海外子会社の果たす機能や負担するリスクに比して高い、ということです。

そのため、そもそもLSAの議論にならないように、移転価格リスクの管理をちゃんとして、海外子会社の利益水準をちゃんとコントロールしておくことが重要といえるかもしれません。たぶん日本の税務当局のスタンスもそんな感じです。

LSAのお話はここまでです。

次回以降のケース

次回とその次は、参考事例集のケースを見ていきますが、そこでは「人件費較差による利益の取扱い」とか「市場特性、市況変動等による利益の取扱い」といった表現が出てきます。

なので、このLSAの説明なしにそれらのケースに進むと、背景がよくわからず、「なんやねん、このややこしいケース」と言われかねないので、あえてこういうお話をさせて頂きました。

次回から、普通のトーンに戻ります。

では、では。

■移転価格税制に関するトピックの一覧はこちら

 

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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