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移転価格税制

第9回 DCF法の計算でチェックされるポイント(移転価格税制)

引き続き「無形資産の譲渡取引とDCF法」シリーズです。

ここまで、DCF法の具体的な計算を見てきました。

そこでお伝えしたとおり、DCF法の適用に当たり、独立企業間価格を算定するための前提となる事項については、検証可能で合理的なものである必要があります。

 

前提条件についての検証を行う場合のポイント

事務運営指針には、税務当局の視点で、それら前提条件についての検証を行う場合のポイントが書いてあるので、今回はそれを確認したいと思います。項目名だけ挙げると、以下の5つです。

(1) 事業計画等の信頼性
(2) 予測利益の成長率
(3) 割引率
(4) 予測期間
(5) 税金費用

以下、順番に見ていきます。

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(1) 事業計画等の信頼性

1つ目は、「予測利益の金額が、国外関連取引に係る信頼性が確保された事業計画等の情報に基づいて計算されたものかどうか」というポイントです。

具体的な事業計画等の信頼性の検討に当たっては、以下の要素などがチェックされます。

  • 予測の根拠及び目的
  • 予測期間の長短
  • 予測の基礎となる過去の収益実績との整合性
  • 当たり前ですけど、過去実績との整合性は重要です。ということは… 何でもないです。

    (2) 予測利益の成長率

    2つ目は、「予測利益の金額の計算において、予測される利益の成長率を加味して計算する場合は、国外関連取引に係る事業の将来性や当該事業が属する業種に係る市場の成長率の程度を勘案した合理的な成長率が適用されているかどうか」というポイントです。

    (3) 割引率

    3つ目は、「国外関連取引に係る事実、予測利益の金額の計算内容、国外関連取引に係る事業のリスク(予測利益の金額の変動リスクを含む)等個々の状況に応じて、用いる割引率が合理的と認められるものかどうか」というポイントです。

    割引率については、こちらをどうぞ。

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    (4) 予測期間

    4つ目は、「予測期間について、例えば、国外関連取引に係る無形資産の使用により利益が生じると見込まれる場合においては、当該無形資産に係る法的保護期間及び技術的環境の変化の程度を勘案して予測期間を決定するなど、利益が生じると見込まれる期間が適切に定められているかどうか」というポイントです。

    なお、予測期間を超えて将来にわたり継続的に利益が生じると見込まれる場合は、ディスカウント・キャッシュ・フロー法に準ずる方法として、最終価値を考慮して予測利益の金額を計算する必要があるかどうかを検討することとされています。いわゆるターミナル・バリューの計算ですね。

    (5) 税金費用

    最後の5つ目は、「予測利益の金額について、予測される法人税等の実効税率等を基に計算した法人税等による影響額を勘案して計算されているかどうか」というポイントです。

    例えば、国外関連取引に係る資産が無形資産の場合、当該無形資産が将来にわたって償却されることにより、予測される法人税等の金額が減少する可能性があります。この点は具体的な計算過程を見たときに確認済みです(計算過程はこちら)。

    無形資産の償却方法や償却期間が適正かどうかなど、無形資産の償却による法人税等の減少効果が適正に計算されているかどうかがチェックされるということです。

    次回予告

    今日はここまでです。これで、だいたいDCF法の内容はお伝えできたので、あとはローカルファイルのことに触れて、特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置についてお伝えして、この無形資産の譲渡取引シリーズは終わりにします。

    では、では。

    ■移転価格税制に関するトピックの一覧はこちら

     

    この記事を書いたのは…
    佐和 周(公認会計士・税理士)
    現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

     

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