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佐和周のブログ

移転価格税制

第16回 特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置の発動基準

引き続き「無形資産の譲渡取引とDCF法」シリーズです。

前回は特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置の内容を少し詳細に確認しました。

そして、その最後に、この価格調整措置は、独立企業間価格の算定に用いた事前の予測と事後の結果に相違が発生したら、即発動するものではなく、実際には発動基準があることもお伝えしました。

今回は、その発動基準について見ていきたいと思います。

 

1. なぜ発動基準があるのか

まず、「そもそもなぜ発動基準というものがあるのか」という点ですが、これは、事前の予測と事後の結果がちょっとズレるのは仕方ないからです。

つまり、当初の取引価格が「特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置を適用したときに独立企業間価格とみなされる金額」とそんなに乖離していないなら(つまり、乖離が一定の範囲内に収まっているなら)、税務当局にとって、この価格調整措置により防止する必要がある移転価格リスクが小さいということです。

「価格調整措置が発動しない=税務当局がごちゃごちゃ言わない」なので、事前の予測とちょっとズレたくらいなら、税務当局もごちゃごちゃ言わないということですね。

2. 具体的な発動基準

じゃあ、「ちょっとズレた」というのがどれくらいのレベルかというと、具体的には、以下の範囲内であれば、この価格調整措置は適用されません

特定無形資産国外関連取引の対価の額の支払を受ける法人:
あるべき対価≦実際の対価×120%
特定無形資産国外関連取引の対価の額を支払う法人:
あるべき対価≧実際の対価×80%

つまり、±20%のズレまではセーフってことです。

ちなみに、上式で、「あるべき対価」と書いているのは、「価格調整措置を適用したならば独立企業間価格とみなされる金額」で、「実際の対価」と書いているのは、「当該特定無形資産国外関連取引の対価の額」です。

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3. 発動基準のイメージ

この特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置の発動基準のイメージですが、税務調査があって、調査官が「おいおい、事後の結果、事前の予測とめっちゃズレてるやん」と言ってくる感じ(?)かと思います。

逆にいうと、この発動基準を満たさないことを証明する義務を日本企業が法令上負うわけではありません

発動基準の判定は、基本的に対価の額ベースの比較です。なので、「ズレてる」というのは、DCF法の結果で、あるべき水準と実際の水準を比較するイメージでOKです。これが20%以上ズレていれば、調査官から「オイ、コラ」と言われるわけですね(かつての大阪国税局のイメージ←怒られるやつ)。

4. 適用免除基準と混同しないように

最後にもう1つだけ。この発動基準を、次回お伝えする適用免除基準と混同しないようにしてください。というのも、±20%という基準が同じなので。

今日はここまでです。

では、では。

■移転価格税制に関するトピックの一覧はこちら

 

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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