第11回 移転価格税制における「準ずる方法」とは
引き続き「独立価格比準法(CUP法)」シリーズです。
前回は、独立企業間価格の算定方法として、「原材料aの市場価格を用いる独立価格比準法に準ずる方法」を選定するケースを見ました。
Table of Contents
1. 「準ずる方法」の意味合い
「準ずる方法」の意味合いとしては、「独立価格比準法とはちょっと違うけど、その基本的な考え方からは乖離していないもの」ということでしたね。
2. 基本三法に準ずる方法
以前、独立価格比準法に、今後お伝えする再販売価格基準法と原価基準法を加えて、「基本三法」と呼ぶということをお伝えしました。
この(独立価格比準法を含む)基本三法に準ずる方法は、参考事例集では、「基本三法の考え方から乖離しない限りにおいて、取引内容に適合した合理的な方法を採用する途を残したもの」と説明されています(そういう判例もあります)。
もう少しいうと、対象としては、「基本三法を適用した場合には比較対象取引を見いだすことが困難な国外関連取引」が想定されています。前回のケースでも、独立価格比準法を適用しようとして、(内部・外部)比較対象取引を探したけど、それがなかったって設定でしたよね。
そういう国外関連取引に関して、基本三法よりも比較対象取引の選定の範囲を広げるというイメージでしょうか。
ただし、基本三法に準ずる方法は、基本三法において比較対象取引として求められる比較可能性の要件 (棚卸資産の種類等の諸要素)まで緩めることを認めるものではないので、その点は注意です。
3. 基本三法に準ずる方法の例
参考事例集では、基本三法に準ずる方法の例として、いくつかの方法が挙げられており、そこには、前回のケースで確認した、以下の方法が含まれます。
また、独立価格比準法が関係するところでいうと、以下のような方法もあります。
その他再販売価格基準法に準ずる方法 などの例示もあるので、もしよかったら参考事例集を確認してみてください(誰も確認しないと思いますけど)。
今日はここまでです。次回は、ここまでの「独立価格比準法(CUP法)」シリーズの記事をまとめて、終わりにしたいと思います。
では、では。