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佐和周のブログ

移転価格税制

第2回 ローカルファイルの記載例:国外関連取引に密接に関連する他の取引

引き続き「取引単位の検討」シリーズです。

前回は、国外関連取引に密接に関連する他の取引の例を確認しました。国外関連取引と連鎖している取引なんかを見ましたが、要は「国外関連取引に影響を与える取引」のことです。

 

1. ローカルファイルに含まれる書類

移転価格文書(ローカルファイル)には、そういった「国外関連取引に密接に関連する他の取引」というものを整理して書く必要があります。

具体的には、ローカルファイルには、「国外関連取引と密接に関連する他の取引の有無及びその取引の内容などを記載した書類」が含まれており、シンプルにいうと、以下を説明する必要があります。

  • 密接に関連する他の取引が存在するか否か
  • 存在する場合にはその取引の内容
  • その取引が国外関連取引にどのように関連するのか

これだけだと、「はあ」という感じだと思いますが、連鎖取引や複数の取引など、「密接に関連する他の取引」の具体例は前回見て頂きましたよね。

2. 必要な情報と書類

例示集(国税庁 「独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル)作成に当たっての例示集」)では、必要な情報の例として、以下が挙げられており、このような必要な情報が記載されている書類を準備しておく必要があります。

・国外関連取引と密接に関連する他の取引の有無及び当該取引の内容
…内容としては、取引の対象(棚卸資産の種類、役務の内容等)、取引金額、取引に係る損益など

・国外関連取引及びその国外関連取引と密接に関連する取引の全体像を記載した取引図
…前回見た取引図のイメージ

・複数の取引が密接に関連していることを示す情報
…国外関連取引との関連性、エンドユーザーが同一か否か、それぞれの価格設定への影響を含む
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3. ローカルファイルの記載例(作成サンプル)

さらに具体的に見ていくと、作成サンプル(国税庁 「同時文書化対応ガイド ~ローカルファイルの作成サンプル~」)では、以下のような記載があるので引用します(A社・B社とも国外関連者です)。

8 A社との国外関連取引に密接に関連する取引について
(中略)B国に所在する当社の国外関連者であるB社は、B国内においてA社から輸入した製品Xを、そのままB国内の代理店へ販売し、最終的に自動車ユーザーへ販売する再販売取引を行っています。B社で扱う製品Xは、アフターマーケット用としてB国内の自動車ユーザーが修理等の際に使用するためのもので、現地の自動車メーカーや自動車部品供給業者へ販売されることはありません。B社の2017年12月期における売上高は○億円(うち製品Xに係る売上高は○億円)で、従業員数は○人となります。
 B社は、A社と「製品販売契約」を締結していますが、取引価格については、同契約の中で、B国内の代理店への販売価格から考えてB社の売上高営業利益率が○%となるように設定することとしています。
 なお、B社がA社から購入する製品Xの取引価格には製品Xに係る無形資産のロイヤルティが含まれています。
 このA社とB社の間の取引は、A社から輸入した製品Xに係るB社の損益を検証対象とした取引単位営業利益法に準ずる方法により検証しており、独立企業間価格で取引されたことを確認しています。
(中略)
添付資料34 B社の組織図
添付資料35 A社とB社の間の契約書「製品販売契約」添付資料36B社の財務諸表(単体)
添付資料37 A社から輸入した製品Xに係るB社の損益
添付資料38 B社がB国の権限ある当局から受けているA社との取引に関する独立企業間価格の算定方法についての確認通知(A社とB社の間の取引に係る独立企業間価格の算定方法の詳細を明示)

これだけだとわかりにくいのですが、自社とA社の間に取引(国外関連取引)があり、さらにA社とB社に取引があるので、連鎖取引の例です。

国外関連取引に密接に関連する他の取引なども含めて、全体像を把握できたら、次の問題は「複数の国外関連取引を一体として独立企業間価格を算定するのかどうか」です。この点は、次回確認したいと思います。

今日はここまでです。

では、では。

■移転価格税制に関するトピックの一覧はこちら

 

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