電子帳簿保存法:スマートフォンしかない場合の電子取引の制度対応
引き続き、電子帳簿保存法における電子取引の制度のお話です。
2022年6月に改訂された「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」の関係で、今回はスマートフォンのみで取引を行っている場合について書きます(一問一答の改訂自体についてはこちら)。
Table of Contents
1. 個人的に興味を持ったQ
今回のQ&A(一問一答)の改訂で追加されたうち、個人的に最も興味を持ったのが、以下のQです。
パソコンやプリンタを保有しておらず、スマートフォンのみで取引を行っている場合には、どのように電子取引データ保存への対応をすればいいでしょうか。
私の仕事には全く関係ないのですが、考えもしなかったケースなので、へぇーと思って。
Q&A(一問一答)、ほんまおもろい。
2. スマートフォンで授受する領収書等(電子取引の取引情報)
前提として、スマートフォンで授受した領収書等データについても、電子取引の取引情報に該当します。
電子取引の範囲などは、以下の記事をご参照ください。
電子取引に該当するということは、電子データを一定の要件を満たす形で保存する必要があるということです(詳細はこちら)。
3. スマートフォンで行った電子取引のデータ保存方法
このようなケースについて、Q&A(一問一答)で挙げられている具体的な対応(例)は、以下のとおりです。
(注)基準期間における売上高が1,000万円以下の事業者については、検索機能の確保は不要です(税務職員のダウンロードの求めに応じる前提。詳細はこちら)。
現実問題、こんなことできる?
国税庁の整理では、保存に用いているスマートフォンがあれば、電子計算機、プログラム、ディスプレイの備付けに係る要件は充足していることとなるそうです。
これ、ちょっと苦しいようにも思いますが、「PC買えや」とは言えないですもんね。
4. プリンタの備付けはどうするのか
素人目に、最も苦しそうな要件はプリンタの備付けです。
すなわち、電子取引データの保存要件にはプリンタの備付けも含まれるためです。
これ、どうするのかなと思ったのですが、Q&A(一問一答)では以下のような記述があります。
税務調査等があった時点においてプリンタを常設していない場合であっても、近隣の有料プリンタ等により税務職員の求めに応じて速やかに出力するなどの対応ができれば、プリンタを備え付けているものと取り扱って、差し支えありません。
プリンタを常設していないことのみをもって保存要件違反として取り扱うことはないそうです(笑)
いや、そもそもセキュリティの問題として、外のプリンタで印刷したらあかんような気が。。。
プリンタについては、「基本的には納税地等に備え付けておく必要があります」という記述もありますが、「プリンタ買えや」とまでは言えないですもんね。
ここまでくだらない内容を、ここまで苦労しながら大真面目に書くと、最高のエンターテインメントに仕上がりますね。最近、ちょっと国税庁のファンになりました。
5. 解決策
これ、解決策が思い浮かばないので、またポイントを配ったらいいんじゃないですかね。プリンタを買えるように、スマートフォンで電子取引の制度に対応しようとしている人に、節電ポイントみたいなやつを(「DXポイント」とか名付けて)。
すみません、途中ちょっと関西弁になってしまいました。
内容が無さすぎるので、今日はここまでにします。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。