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佐和周のブログ

電子帳簿保存法

電子帳簿等保存:押印書類(請求書等)を送付した場合の控えの保存

引き続き、電子帳簿保存法のうち、電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係のお話です。

今回は、押印した請求書等を送付した場合の控えの保存について。

 

1. 電磁的記録による保存等が認められる国税関係帳簿書類

前提として、電磁的記録等による保存等が認められる国税関係帳簿書類、言い換えると、この制度の対象になる帳簿書類については、以下の記事にまとめました。

 

基本的には、自社が電子的に作成した帳簿や書類が対象(=電子データのまま保存できる)という内容です。

2. 出力後の押印書類を郵送する場合の取扱い

国税庁のQ&A(一問一答)には、これに関連するQがあります。

前提となるのは、「パソコンにより作成した請求書等を出力した書面に代表者印等を押印して相手方に送付する」という状況です。

Qは、この場合の取扱いを尋ねており、具体的には、この場合でも「自己が一貫して電子計算機を使用して作成した国税関係書類に該当するか」という内容です。

言い換えると、「代表者印等が表示されていない状態の電磁的記録の保存をもって、その請求書等の控えの保存に代えることができるか」ということです。

これ、押印してなければ、「自己が一貫して電子計算機を使用して作成した」と胸を張って言えますけど、物理的に押印しているわけだから、普通で考えると、一貫して電子計算機を使用して作成したとは言えないですよね。

でも、回答としては、代表者印等が表示されていない状態の電磁的記録の保存をもって、その請求書等の控えの保存に代える形でOKだそうです。

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3. なぜ電磁的記録の保存が認められるのか

なぜこのような電磁的記録の保存が認められるかについて、一問一答の解説をサマリーすると、だいたい以下のような感じです。

  • 前提として、請求書等の国税関係書類について、自己が一貫して電子計算機を使用して作成している場合は、一定の要件のもと、その書類の保存に代えて電磁的記録により保存することができる
  • 一方で、データを出力した後に加筆等を行って相手方へ郵送するようなケースでは、出力したものと電子データとして保存するものの内容が相違する
  • そのため、このようなケースは、「自己が一貫して電子計算機を使用して作成している場合」に該当せず、基本的には電磁的記録による保存は認められない
  • ただし、例えば出力書面に代表者印等を押印したものを郵送しているだけの場合には、代表者印等という情報以外が追加されているものではない
  • そのため、それ以外に加筆等による情報の追加等がない限り、自己が一貫して電子計算機を使用して作成している場合に該当するものとして取り扱って差し支えない

よくわかりませんが、押印は大した情報じゃないってことなんでしょうか。

なので、こういう場合には、押印のない請求書データを保存しておけばOKということみたいです。

色々ありますね。

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4. 請求書等を電子データで送る場合の取扱い

ちなみに、上記は、請求書等を郵送する場合のように、「出力した書面」を相手方に交付したことが前提になっています。

逆にいうと、押印した請求書等のデータを(データのまま)相手方にメールで送った場合などは、上記の取扱いはありません。

というか、そういう取引は普通に電子取引に該当するので、相手方に交付した押印後のデータを保存する必要があるということです。

まあ、その状況であえて押印前のデータを保存しようとは思わないような気もしますが。

まとめると、押印前のデータでの保存が認められるのは、書面交付の場合(=電子取引に該当しない場合)に限られるということで。

今日はここまでです。

では、では。

 

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第3版 電子帳簿保存法の制度と実務(Amazon)

 

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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