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インボイス制度:ETC利用証明書による仕入税額控除と電子帳簿保存法対応

今日も、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)のことを書きます。

少し前にETCの利用料金のことでご質問を頂いたのですが、税務通信にも情報が出たので、備忘録も兼ねて。あ、それとセットで、電子帳簿保存法のことも少しだけ。

0. この記事のポイント

インボイス制度の下では、3万円未満の少額取引についても適格請求書の保存が必要になります。ETC利用料金について、クレジットカード会社発行の請求明細書等は適格請求書には該当しませんが、ETCクレジットカード等を利用している場合、「利用証明書」が電子適格簡易請求書として交付される予定のようです。

 

 

1. ETC料金の証憑書類の問題

ETC料金のお話は、そもそもは経費精算の効率化の過程でご相談を頂きました。

端的には、「どういう証憑書類を保存しておけばよいか」という内容です。

こういうテーマの場合、個人的には、法人税よりも消費税(の仕入税額控除)の観点で考えるべきだと思います。なので、インボイス制度への対応がメインですね。

実際には電子帳簿保存法への対応もありますが、先に消費税の話からです。

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2. ETC料金に係る仕入税額控除の問題

前提として、インボイス制度の下では、仕入税額控除を取るためには、3万円未満の少額取引についても、基本的に適格請求書の保存が必要になります(詳細はこちら)。

もう1つ前提として、クレジットカード会社が発行する請求明細書等は、請求書等には該当しません(それで仕入税額控除を取ることはできません)。これは、クレジットカード会社が課税資産の譲渡等を行ったわけではない(取引相手ではない)からです。

なので、高速道路のETC料金については、「何をもって適格請求書とするか」を考えなければなりません。

ちなみに、これは別にインボイス制度に限った話ではなく、現行制度でも同じです。というのも、普通の企業であれば、3万円未満の取引でも、経費精算にあたって証憑を添付しないことはないと思われるからです(消費税法上は証憑書類なしでOKだったとしても)。

まあ、インボイス制度の導入を契機にして、真面目に考えることになったという感じでしょうか。

3. ETC利用照会サービスの「利用証明書」

ご相談があったケースでは、「ETC利用照会サービスからダウンロードした利用証明書を証憑書類として取り扱うこと」の可否を議論しました。

当時はまだ税務通信の記事が無かったのですが、有難いことに、この点について高速道路を運営する複数社に取材してくれました(3713号です)。

知らなかったのですが、これは、クレジットカード会社等が発行主体となる「ETCクレジットカード等」を前提としたお話で、ETC利用照会サービスは、NEXCO東日本などの高速道路の会社6社が運営するものだったんですね(その他、ETCパーソナルカードとかETCコーポレートカードのお話もあるので、詳細は税務通信の記事をご参照ください)。

4. インボイス制度への対応

で、このETCクレジットカード等のケースでは、インボイス制度導入後は、「利用証明書」が電子適格簡易請求書として交付される予定とのことです(適格簡易請求書についてはこちら)。

なので、ウェブ上のETC利用照会サービスから、利用証明書をダウンロードして保存しておけば、消費税の仕入税額控除のほうはOKです。

よかった、よかった。

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5. 電子帳簿保存法への対応

ただ、この場合、同時に電子帳簿保存法への対応も必要になります。

利用証明書(のダウンロード)は、電子取引に該当するからです。

したがって、保存要件を満たす形で電子データを保存しておく必要があります。

ただ、実際には宥恕規定があったり、色々とあるので、具体的な要件は以下の記事をご参照ください。

 

ちなみに、税務通信の記事では、料金所において現金やクレジットカードで支払う場合についても言及してくれています。

テーマとしては、極めてどうでもいいものですけど、真面目に対応しようしている企業ほど悩むテーマなので、取り扱いがはっきりしてよかったなと思います。

今日はここまでです。

では、では。

■インボイス制度に関する記事の一覧はこちら

 

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この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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