第12回 独立価格比準法(CUP法):記事まとめ
今回は「独立価格比準法(CUP法)」シリーズの記事をまとめてお伝えします。
Table of Contents
1. 独立価格比準法(CUP法)とは
このシリーズでは、まず、「独立価格比準法(CUP法)とは」というところを確認しました。
独立価格比準法とは、要するに「似たような取引と価格を直接比較する方法」、つまり、同種の棚卸資産に係る非関連者との取引を比較対象取引として、独立企業間価格を算定する方法でしたね。
以下の図が独立価格比準法のシンプルなイメージです。
2. 独立価格比準法が使えたり、使えなかったりするケース
また、このシリーズでは、独立価格比準法(CUP法)に関係する、参考事例集やポイント集のケースを見ました。
(1) 独立価格比準法が使えるケース
まずは、そのまま独立価格比準法が使えるというシンプルなケースでした。
日本親会社から海外子会社への製品Aの棚卸資産の販売取引(国外関連取引)について、日本親会社からT社への製品Bの販売取引を比較対象取引として、独立価格比準法を適用しましたね。
というのも、製品Aと製品Bは、日本親会社内の製品区分が異なるだけで、性状・構造・機能等の面で同種の製品という前提条件だったので。
(2) 独立価格比準法が使えないケース
次が逆に独立価格比準法が使えないケースでした。
企業側は一応比較対象取引らしきものを選定していたのですが、取引段階に差異があったり、所在地国や市場規模などが異なっていたりで、取引価格に影響を及ぼす差異がありました。
で、差異を定量的に算出して、それを調整するのも困難だったので、結局独立価格比準法は使えないと。
(3) 差異調整を行えば、独立価格比準法を使えるケース
そして、上記と同様の差異があるものの、上記とは異なり、差異調整を行えば独立価格比準法を使えるケースも扱いました。
第7回 ケース:独立価格比準法(CUP法)で差異調整を行う場合
国外関連取引と比較対象取引の間に差異、具体的にいうと、①引渡条件及び②決済条件に差異がありました。
そこで、①については運賃と保険料部分を調整し、②については金利部分を調整する形で、差異調整を行いましたね。
(4) 独立価格比準法「に準ずる方法」が使えるケース
最後が独立価格比準法「に準ずる方法」を使うケースでした。
第10回 ケース:独立価格比準法(CUP法)に準ずる方法を使う場合
このケースでは、比較対象取引の候補が見つからない前提になっていましたが、国外関連取引の対象になっている棚卸資産に市場価格(客観的かつ現実的な指標)がありました。
なので、その市場価格を使って、独立価格比準法に「準ずる方法」を適用しました。
3. 周辺知識
これは独立価格比準法に特有の話ではないのですが、上記のケースに関係させる形で、いくつかの周辺知識もお伝えしました。
(1) 比較対象取引候補のスクリーニング
第3回に関連して、比較対象取引候補のスクリーニングについてのお話をしました。
第4回 移転価格税制における比較対象取引候補のスクリーニング
(2) 差異調整
また、第7回に関連して、差異調整の意味合いをお伝えし、ついでにローカルファイルの記載事項も確認しました。
第6回 移転価格税制における「差異調整」をわかりやすくいうと
(3) 準ずる方法
そして、第10回に関連して、準ずる方法にも触れました。全然面白くなかったですけど。
4. 移転価格税制の英語
それと、このシリーズでも、少し英語のお話をしました。
まとめると、以下のような感じです。
comparable uncontrolled price methodです。
略してCUP methodですね。
comparability adjustmentsでいいと思います。
5. 最後に
今日はここまでです。
ちょっと別のお話をして、次からは「再販売価格基準法(RP法)と原価基準法(CP法)」シリーズに入りたいと思います。
では、では。