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インボイス制度:仕入明細書と適格請求書を1枚の書面で交付する場合

前回に引き続き、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)についてです。

今回は、仕入明細書と適格請求書を1枚の書面で交付する場合の取扱いについて見ていきたいと思います。

0. この記事のポイント

仕入明細書により仕入税額控除を行っているケースで、仕入金額から控除する配送料(自社の売上)がある場合、その仕入明細書に配送料に係る適格請求書の記載事項をプラスして、1枚の書類で交付するという方法も認められます。

 

 

1. 仕入明細書+適格請求書

前提として、仕入明細書による仕入税額控除については、以下の記事にまとめてあります。

 

今回のケースについては、そんなに書くことはないんですが、仕入明細書と適格請求書を1枚の書面で交付する場合なので、同じ相手方に対して、仕入れと売上の両方があるパターンということになります。

Q&A(消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A)では、以下のようなケースが想定されています。

  • 当社は、現在、自ら作成した仕入明細書を相手方の確認を受けた上で請求書等として保存している
  • 仕入明細書には、当社が行った商品の配送について、配送料として記載し、仕入金額から控除しており、これは、当社の売上げとして計上している
  • Qとしては、この場合に、「仕入明細書とは別にその配送料に係る適格請求書を相手方に交付しなければならないかどうか」というものです。

    これに対するAは、「仕入明細書に、配送料に係る適格請求書の記載事項をプラスして、1枚の書類で交付するという方法もアリ」となっています。

    もちろん、配送料に係る適格請求書を仕入明細書とは別に交付する方法でも問題ありません。

    2. 適格請求書上+仕入明細書の記載例

    上記の1枚の書類で交付する方法について、Q&Aには記載例があります。

    この上なくぎゅうぎゅうに詰まっているので、一見の価値ありです。

    (出典:国税庁 「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」 (令和3年7月改訂)問72)

     

    要は、仕入明細書と適格請求書の両方の記載事項を詰め込む必要があるので、こんなことになっています。

    これ、冗談とかじゃなくて、本気でやるつもりなんでしょうか。。。

    3. 適格請求書上+仕入明細書の記載事項

    上記の①~⑥(仕入明細書の記載事項)と㋑~㋬(適格請求書の記載事項)のそれぞれの内容は以下のとおりです。

    仕入明細書の記載事項
    ① 仕入明細書の作成者の氏名または名称
    ② 課税仕入れの相手方の氏名または名称及び登録番号
    ③ 課税仕入れを行った年月日
    ④ 課税仕入れに係る資産または役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
    ⑤ 税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額及び適用税率
    ⑥ 税率ごとに区分した消費税額等
    適格請求書の記載事項
    ㋑ 適格請求書発行事業者の氏名または名称及び登録番号
    ㋺ 課税資産の譲渡等を行った年月日
    ㋩ 課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
    ㋥ 課税資産の譲渡等の税抜価額または税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
    ㋭ 税率ごとに区分した消費税額等
    ㋬ 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

    今日はここまでです。

    では、では。

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    この記事を書いたのは…
    佐和 周(公認会計士・税理士)
    現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

     

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