インボイス制度:税抜対価をベースにした仕入税額の帳簿積上げ計算
今日も、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)のことを書きます。
2022年11月に国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」が改訂され(詳細はこちら)、そこで新たに追加された項目について。
今回のテーマは、税抜対価をベースにした仕入税額の帳簿積上げ計算です。
Table of Contents
0. この記事のポイント
1. 仕入税額の計算方法
インボイス制度(適格請求書等保存方式)における仕入税額の計算方法には、積上げ計算と割戻し計算があり、積上げ計算の中に請求書等積上げ計算と帳簿積上げ計算があります(詳細は以下の記事をご参照ください)。
今回は、このうち帳簿積上げ計算について。
2. 帳簿積上げ計算
帳簿積上げ計算は、課税仕入れの都度(意味合いはこちら)、課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象となる場合は108分の8)を乗じて算出した金額(1円未満の端数は切捨てまたは四捨五入)を仮払消費税等として帳簿に計上している場合に、その金額の合計額に100分の78を掛けて仕入税額を算出する方法です。
こうやって文章にするとすごく複雑に聞こえますが、大した話ではないです。
この場合、課税仕入れに係る支払対価の額は消費税額等を含みます。
したがって、帳簿に記載する仮払消費税等は、一般的に、適格請求書等の請求書等に記載された課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10などを乗じて算出するはずです。
3. 10/110ではなく10/100のパターンも
この点について、ちょっと面食らったのですが、Q&Aには、(税込対価ではなく)税抜対価をベースに帳簿積上げ計算を行うのもOKと書いてあります。
例えば、納品書に(課税仕入れに係る)税抜対価の額が記載されていて、それを基礎として帳簿に仮払消費税等を計上するケースがこれに該当します。
この場合、税抜対価の額に100分の10(軽減税率の対象となる場合は100分の8)を乗じて仕入税額を算出する方法も認められるということです。
色々ありますね。
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。