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KAM本適用:収益認識⑥ 不正リスクに関係する事例

引き続き監査のお話です。

 

収益認識に関するKAM(監査上の主要な検討事項)

2021年3月期からKAM(監査上の主要な検討事項)の記載(本適用)が始まったので、ざっと分野別に事例を見ており、いまは収益認識に関するKAMについてです。

ここまでの流れ

ここまでの流れですが、まず、収益認識に関するKAMについて、全体の傾向らしきものを最初にまとめました(以下の記事です)。

KAM:収益認識① 事例から見た全体的な傾向らしきもの

で、それ以降は、個人的な興味で、いくつか収益認識に関するKAMをピックアップしています。

探していなかったもの=不正リスク関係

今回は、探していなかったけど、ちょっと目に付いたKAMということで、収益認識に係る不正リスク関係のものです。

個人的には、KAMと不正リスクって、あんまり関係ないのかなと思っていました。

収益認識といえば不正リスクですが(そうか)、そういうのが必ずKAMになるわけじゃないので。

これは、監査人は収益認識には不正リスクがあると推定し、その不正リスクを「特別な検討を必要とするリスク」として扱う必要があるものの、この「特別な検討を必要とするリスク」は、状況によっては、監査人が特に注意を払った事項には該当しないことがあるとされているためです。

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業績予想・目標達成の誘因・プレッシャー

そういった観点からは、結構踏み込んだなあ、というものがいくつかあります。

不正リスクといってしまっていいのかわかりませんが、以下の事例は「業績予想達成の強いプレッシャー」に言及しています。

…に記載のとおり、●●●グループの製品の販売については、製品の引渡時点において顧客が当該製品に対する支配を獲得することから、履行義務が充足されると判断しており、当該製品の引渡時点で収益を認識している。
 このような収益認識基準の適用に当たっては、主に以下の理由から、顧客への引渡しが未了であるにもかかわらず、不適切な会計期間に売上が計上される潜在的なリスクが存在する。
・業績予想が外部投資家へ公表されているため、販売部門は当該業績予想達成の強いプレッシャーを感じる可能性があること
・顧客の所在地は様々であるため、製品倉庫を出庫してから引渡しまでの期間が、一定の日数とならない特徴を有すること

(下線は追加)

「製品倉庫を出庫してから引渡しまでの期間が、一定の日数とならない特徴」も併せて挙げてくれているので、なるほどなあという感じです。

もう1つ、今度はプレッシャーというよりは誘因で、それに言及しているKAMです。

…●●●グループは○○○機器の販売について、顧客によって受領が確認された日をもって実現したと判断し売上を認識している。
 ●●●グループが販売する○○○機器は、受注から納品までに一定期間を要する。このため、計画売上高が業績予想の中で外部投資家などに公表されていることを背景として、その目標達成が営業部門の誘因となり、顧客による受領の確認が未了であるにもかかわらず、売上を計上する潜在的なリスクが存在する。また、○○○機器の販売は1件当たりの取引金額が大きく、連結財務諸表に大きな影響を与える可能性もある。

(下線は追加)

個人的な疑問

こういう内容って、読み手はどうやって捉えるんでしょうね。

あんまりこういうKAMを想定したことも、企業の方々と議論したこともないので、想像がつかないです。

「どこの会社でもありそうな話だから、敢えて書いてあるということは、そういうリスクが高い会社なんだ」と捉える可能性もありますよね。

よくわからないですが、監査法人が敢えてそうやって書いているという事実は、重く受け止めるべきなのかもしれません。

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過去の不正

不正リスクという意味で、もう少し分かりやすいのが以下のような事例です。

 会社及び連結子会社は、情報通信システムに関する機器及び部品の開発、製造及び販売並びにこれらに付帯するサービスの提供からなる事業を営んでいる。
 会社は、2020年10月7日に特別調査委員会より調査報告書を受領し、過年度において、連結子会社が売上帳票の改ざんによる不適切な売上の前倒し計上及びスルー取引による不適切な売上計上を行っていたことが判明している。
 当該不適切な売上の前倒し計上及びスルー取引が行われていたことは、全社的な内部統制及び販売プロセスにおける収益認識に関する内部統制の整備・運用状況に不備が生じていたことが原因であり、当該不備は前連結会計年度末において開示すべき重要な不備に該当している。
 このため、当監査法人は、売上の期間帰属、実在性及び計上額の妥当性が当連結会計年度において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

(下線は追加)

うん、これはシンプルで説得力がありますね。KAMとして選定された理由も明確だし。

とうことで、今日はここまでです。

収益認識に関するKAMはこれでおしまいで、少し間を空けて、また別のテーマに関するKAMのお話に移りたいと思います。

では、では。

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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