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KAM本適用:収益認識⑤ 請求済未出荷契約(預り売上)に関係する事例

引き続き監査のお話です。

 

収益認識に関するKAM(監査上の主要な検討事項)

2021年3月期からKAM(監査上の主要な検討事項)の記載(本適用)が始まったので、ざっと分野別に事例を見ており、いまは収益認識に関するKAMについてです。

ここまでの流れ

ここまでの流れですが、まず、収益認識に関するKAMについて、全体の傾向らしきものを最初にまとめました(以下の記事です)。

KAM:収益認識① 事例から見た全体的な傾向らしきもの

で、それ以降は、個人的な興味で、いくつか収益認識に関するKAMをピックアップしています。

探していたもの=買戻契約と請求済未出荷契約

今回は、個人的に探していたタイプのイレギュラーな取引に関するKAMです。

具体的には、買戻契約と請求済未出荷契約で、「そういう内容を書くケースがあるのかな」と思って、検索してみました。

まず、買戻契約のほうは、1つだけそれらしい事例があったのですが、(日本基準で)収益認識会計基準を早期適用しておらず、イメージと違ったので、今回は割愛します。

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請求済未出荷契約に関係するKAM

一方、請求済未出荷契約については、イメージどおりのものがあったので、以下でご紹介します。

以下がKAMの「監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由」部分の抜粋です(この企業も、日本基準で、収益認識会計基準は早期適用していないようです)。

…に記載のとおり、●●●株式会社の当連結会計年度における○○○事業の外部売上高は■■■百万円であり、全社売上高■■■百万円の■■■%を占めている。この○○○事業における株式会社×××(関連当事者に該当)を含む一部の得意先との間では、顧客に製品対価を請求するものの、引き続き会社が当該製品の物理的占有を保持する請求済未出荷契約に基づく売上(いわゆる預り売上)を行っているものがある
 預り売上は、出荷基準による売上に比べ売上根拠の事実を確認しにくく、特に締め日から期末日までの期間の預り売上については売上計上の時期について慎重な判断を要する。
 以上より、特に3月度の締め日から期末日までの請求済未出荷契約に基づく預り売上の期間帰属については、監査上慎重な検討を要することから、監査上の主要な検討事項であると判断した。

(下線は追加)

淡々と書きますが、請求済未出荷契約に基づく売上には、関連当事者に対するものも含まれるとのことです。

以下の記事のものも同様なのですが、このKAMも書くのは大変だっただろうなと思います。

KAM:収益認識④ 顧客検収前の収益認識に関係する事例

監査上の対応

この項目の「監査上の対応」部分は、以下のように教科書的な手続きが書いてあります。

当監査法人は、○○○事業における預り売上の期間帰属を検討するに当たって、主として以下の監査手続を実施した。
● 売上に関連する内部統制の整備・運用状況の有効性を評価するに当たっては、預り売上に関する統制にも焦点を当てて検討を行った。
● 預り売上の計上要件を充足していることを確かめるため、以下の手続を実施した。
・請求済未出荷契約を締結した合理的な理由があることを、質問や契約書の閲覧により確かめた。
・預り在庫が区分して識別されていること、及び出荷可能な包装済みの状態で保管されていることを、工場への棚卸立会時に確かめた。
・預り在庫の所有権は移転しており他社へ販売することはできないことを、契約書および売上検収書の閲覧により確かめた。
● 預り売上について、得意先別の月次推移分析を行ったうえで、3月度の締め日から期末日までの期間の売上計上額を売上検収書と照合した。また、売上計上後の入金状況を検討した。
● 期末の債権残高及び預り在庫残高について得意先への残高確認を行い、差異が生じた場合には内容の妥当性を検討した。また、預り在庫についても会社が実施する棚卸に立会を行った。
● 長期に預る製品の在庫の内容把握及び推移分析を実施した。

教科書的と書いたのは、未適用の収益認識会計基準における(顧客による支配獲得の)要件を意識しているように見えるからです(具体的には以下です)。

(1) 請求済未出荷契約を締結した合理的な理由があること(例えば、顧客からの要望による当該契約の締結)
(2) 当該商品又は製品が、顧客に属するものとして区分して識別されていること
(3) 当該商品又は製品について、顧客に対して物理的に移転する準備が整っていること
(4) 当該商品又は製品を使用する能力あるいは他の顧客に振り向ける能力を企業が有していないこと

実際に監査手続きをちゃんとやろうと思うと、結構大変だろうなと思います(特に上記の(1)の要件)。

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同じ企業の別のKAM

ちなみに、この企業については、「関連当事者を譲受人とした子会社株式等の売却取引」という別のKAMもあります。

子会社株式を譲渡して、その譲受人が関連当事者(その他の関係会社)で、しかも結構な額の売却益が計上されているという。。。

完全な部外者である私でも、何となく監査法人の方々の苦労が想像できてしまうKAMでした。

逆にいうと、こういうKAMだったら、意義がありそうですよね。

もう四半期レビューが始まっている時期ですが、監査チームの方々にはぜひゆっくりして頂きたいなと思います(どういう立場?)。

今日はここまでです。

では、では。

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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