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佐和周のブログ

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KAM本適用:収益認識① 事例から見た全体的傾向

珍しく監査のお話です。

 

KAM(監査上の主要な検討事項)

2021年3月期からKAM(監査上の主要な検討事項)の記載(本適用)が始まったので、ウェブ会議の合間(断じて会議中ではない)や移動時間にざっと事例を見てみました。

基本的には興味のある分野を選んで、見ながらちょっとだけメモを取ったので、それをまとめてみます。

最初にお断り

ちなみに、KAMは私の苦手な「監査」の分野に属する事柄なので、「監査をよく知らない人が適当に書いたもの」という位置付けです。

それも含めて、いくつか最初にお断りしておきたいと思います。

  • 私は監査には詳しくないので、単なる感想文レベルです
  • しかも、監査法人を絞ったうえで、ざっと見ているだけなので、ちゃんと集計・分析もしていません
  • KAMの事例を示しますが、記載内容を批評したいわけではありません
  • なので、企業名も監査法人名も伏せます
  • 収益認識に関するKAM

    KAMの事例は分野別に見ていってるので、今回は収益認識に関するものです。

    2021年3月期はIFRSと日本基準が混在しているだけではなく、日本基準でも収益認識会計基準を早期適用している会社とそうじゃない会社が混在しているので、ちゃんと分析しようと思うと分類が必要です。

    が、めんどくさいのでそんな分類はしません。ちゃんとした分析は、ちゃんとしたところが書いたものをご覧頂ければと思います。

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    事前の予想

    収益認識に関するKAMの早期適用の事例を見て、事前に「こういうのが多いのかな」と予想していたのは、以下のような内容です。

  • 一定期間にわたって認識される収益(旧基準の工事進行基準など)
  • 一時点で認識される収益のうち、顧客の検収タイミングで認識されるもの(機械販売みたいなもの)
  • 収益認識がITに依存している場合のシステムの信頼性
  • 確かにそういうのは多かったです。

    以下でちょっとだけ例を挙げます。

    一定期間にわたって認識される収益

    まず、一定期間にわたって認識される収益から。

    …○○○分野における一定の要件を満たす特定の工事請負契約については、当該工事請負契約の当連結会計年度末時点の進捗度に応じて収益が計上される。進捗度は、当連結会計年度までの発生費用を工事完了までの総原価見積額と比較することにより測定される。
     総原価見積額は、工事に対する専門的な知識と施工経験を有する工事現場責任者により、一定の仮定と判断に基づいて策定され、承認手続を経たうえで決定される。
     工事請負契約は、契約仕様や作業内容が顧客の要求に基づき定められており契約内容の個別性が強く、また比較的長期にわたる契約が多いという特徴がある。そのため、作業工程の遅れ等による当初見積りに対する原価の増加や、建設資材単価や労務単価等による原価の変動など、工事の進行途中の環境の変化によって、進捗度の測定の基礎となる総原価見積額が変動し、結果として収益が変動することがある。

    重要な売上高に関するもので、見積り要素が多いので、そりゃあKAMになるよな、という感想しかありません。

    顧客の検収タイミングでの収益認識

    次に顧客の検収タイミングでの収益認識です。

    …会社 は、個別に受注生産する○○○機械を販売しており、個別の契約条件等に従い、主として顧客が検収を完了した日に収益を認識する。顧客による検収は、製品である機械が顧客の工場内に搬入され、据付作業や試運転等、検収に必要な確認手続が完了した時点で行われる。
     機械販売は、取引1件当たりの売上高や利益金額が○○○販売等に比して相対的に多額となることから、業績目標の達成において、予定通りに機械の検収が完了するかどうかは重要な要素であり、また社内外の関心も高い。

    まあ、顧客が本当はいつ検収したのか、というのは監査上も難しい問題だと思います。

    ITシステムの信頼性

    最後にITシステムの信頼性について。

    ① 収益認識の前提となるITシステムの信頼性
     旅客収入の収益認識プロセスにおいて利用する航空券に関する情報は、複数の提携会社から入手する情報を含む大量の取引データを対象として、異なるシステム間のインターフェースや乗り継ぎ区間ごとの航空券価格の配分計算等に関する複雑なシステム処理を通じて生成されている。
     マイレージに関する情報についても、マイレージを利用できるサービスの種類はグループ内サービスである特典航空券やツアー等に加え、提携会社のポイントや電子マネーへの交換など多岐にわたり、複雑なITシステムに依拠して生成されている。
     このように、旅客収入の収益認識プロセス全体を通じて業務処理システムの自動化統制に高度に依存しており、大量データを基礎とした複雑な処理が行われている。このため、航空券やマイレージに関するデータがITシステムにおいて正確かつ網羅的に処理されない場合には、適切な会計期間において正確に収益計上が行われない可能性がある。

    そのままのほうが分かりやすいので、この事例だけは事業名などは伏せていません(ごめんなさい)。

    全体的な感想

    上記のように、事前の予想どおりのものもありました。

    でも、思ったよりも、断然色んなことが書いてあった印象です。監査法人の方々は大変だっただろうなと思います(もちろん、企業の方々も)。

    以下では、収益認識に関するKAMを見ていて、気になったことをいくつか書いてみます。

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    顧客ごとに異なる契約内容

    まず、「なるほどな」と思ったのが、「監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由」の部分で、顧客ごとに契約の内容が異なる結果、収益認識タイミングがバラバラになる感じのやつが、それなりに挙げられていた点です。

    例えば、以下のような事例です。

     注記事項(セグメント情報等)に記載されているとおり、●●●グループは役務の提供に応じて収益を認識しているが、前述のように、○○○事業では多岐にわたる事業を行っている。そのため、役務の提供のタイミングや期間は契約条件の違いによって契約ごとに異なり、一律ではない

     したがって、○○○事業では他の事業と比較して取引の個別性が高く、役務提供のタイミングを判断するために慎重な検討が必要になることがあり、売上高を適切な時期に計上することが重要となる。

    (下線は追加)

    契約形態が一律ではないのは、監査上は結構大変だろうなと思います。

    上記の事例はわりとしっかりと書いてあるものですが、そうでなくても、「多種多様な契約条件」みたいな表現のものはそれなりにあって、「そういうのがKAMになるんだな」と勉強になりました(感想文)。

    売上の期末日付近への集中

    それ以外で結構あったのが、売上が期末日付近に集中していることへの言及です。

    これ、業種によっては、みんな分かってることだとは思います。ただ、私が会社の立場なら、殊更に言われるのはなあとも思いそう。せめて、色々書いてあるうちの1つの要素として、さらっと書いてほしいかも。

    逆に、以下の例のように、見出しに「期末日付近の売上取引」みたいな表現が含まれていて、記載内容もこんな感じで大々的にとなると、結構目を引きそうです。

    ●●●株式会社における期末日付近の売上取引
    …当連結会計年度の売上高■■■百万円における日本地域での売上高は■■■百万円であり、このうち●●●株式会社の国内売上はその規模が大きく、また、事業の性質上季節的変動があるため、特に期末日付近で多額の売上が計上される
     国内売上は、取引種類によって計上のタイミングが異なり、また期末日付近の処理件数が多く事務処理が煩雑となることから、適切な会計年度に売上計上されないリスクが相対的に高い。

    (下線は追加)

    まあ、そもそもKAMがどういうものかが正しく理解されていれば、別に大した話ではないはずです。

    でも、そうじゃない状況で、「期末日付近の売上取引がこの会社のリスクだ!」みたいに捉えられるときついなあという印象です。

    期末日後の収益の認識?

    上記以外(別の企業のKAM)で、結構ビビったのは、「期末日前後の収益の認識」という見出しのものです。

    「期末日前後」って… 普通は「期末日」では?

    「期末日後の収益の認識」って、普通にアウトのやつですよね。翌期の収益という意味なのかもしれませんが。

    次回以降に続く

    何か内容が薄いので、また書き足すと思いますが、今日はとりあえずこのあたりで。

    次回以降では、収益認識に関するKAMについて、国内取引の出荷基準のものとか、輸出取引とか、個人的に探していたような事例を挙げていきます(今のところ、以下のような予定です)。

    では、では。

    この記事を書いたのは…
    佐和 周(公認会計士・税理士)
    現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

     

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