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KAM本適用:収益認識③ 輸出取引に関係する事例

引き続き監査のお話です。

 

収益認識に関するKAM(監査上の主要な検討事項)

2021年3月期からKAM(監査上の主要な検討事項)の記載(本適用)が始まったので、ざっと分野別に事例を見ており、いまは収益認識に関するKAMについてです。

探していたもの=輸出取引に関係する事例

収益認識に関するKAMについて、全体の傾向らしきものは最初にまとめて(こちら)、前回からは、個人的に探していたようなKAMについて書いています。

前回は「出荷基準」に関係するKAMでしたが、今回は「輸出取引」に関係するKAMです。

私は海外関係のお仕事をしているので、輸出取引の収益認識にはちょっと興味があります(以下の記事にまとめてあります)。

 

輸出取引の収益認識

以前にも書きましたが、輸出取引については、船積みタイミングで収益認識されるパターンがそれなりに多いと思います。

この場合、あんまり監査上のリスクはないと思うのですが、一応船積みのことに触れているKAMもありました(ごく少数です)。

一方、貿易条件によっては、現地での引渡時点などに収益認識するケースもあり、そっちのほうの監査は大変だと思います。

端的には、輸出者(売主)の負担が大きい条件で、いわゆるDグループの貿易条件ですね。

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国外における製品引渡時点の収益認識

思っていたとおりのKAMが1つだけあったので、ご紹介します。

海外売上が大きい企業で、かつ、輸出取引の条件から、現地での引渡時点で収益認識するパターンもそれなりにあるケースだと思われます。

 【注記事項】(セグメント情報等)に記載のあるとおり、会社の売上の約7割は国外に所在地を置く顧客向けである。このうち、○○○事業の一部の顧客に対する国内からの輸出取引については国外の指定地で製品を引き渡した時点で収益が認識されるが、引き渡しの完了を示す外部情報の収集に時間を要するため、特に期末日付近の取引について収益を適時に認識するためのプロセスが煩雑である
 そのため、当該取引の売上のうち期末日付近の取引について製品を実際に引き渡した時点よりも早期に収益を認識した場合には売上が過大となることから、期末日付近の売上高に係る収益認識の適時性が当連結会計年度において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

(下線は追加)

こういうケース、もうちょっとあるかなと思ったのですが、数は少なかったです。

海外子会社の輸出取引(レアなKAM)

あと、以下はあんまり予想していなかったパターンですが、海外子会社の輸出取引に関係するKAMです。

具体的には、台湾子会社(連結子会社)の話ですね。

 株式会社●●●の当連結会計年度の連結損益計算書に計上されている売上高■■■千円のうち、■■■千円が連結子会社である台湾●●●股份有限公司の売上高であり、連結売上高の29%を占めている。また、輸出売上高が台湾●●●股份有限公司の売上高の73%を占めている。
 台湾●●●股份有限公司は、国際財務報告基準第15号に従い、顧客の指定した地点に到着した時点をもって輸出売上高を認識している。
 台湾●●●股份有限公司の輸出取引は、顧客の販売条件が同一ではなく、また、出荷日から顧客の指定した地点に到着するまでの期間が長期にわたるため、台湾●●●股份有限公司が履行義務を充足した時点をいつどのように認識すべきかについては判断を伴うことから、期末日付近において輸出売上高が不適切な会計期間に認識されるリスクが存在する。
 以上から、当監査法人は、台湾●●●股份有限公司により期末日付近に認識された輸出売上高の期間帰属の適切性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、「監査上の主要な検討事項」の一つに該当すると判断した。

(下線は追加)

台湾子会社の輸出売上高が(連結売上高に占める割合という意味で)重要であり、かつ、その子会社が顧客の指定した地点に到着した時点をもって輸出売上を認識しているというパターンで、かなりレアなKAMなんじゃないでしょうか(別に収集しているわけじゃないですけど)。

台湾子会社の監査人にインストラクションを送って、具体的な手続きとか相談しないといけないのに、向こうの監査人の要領が悪くて(推測)、そのうえ報告も遅くて(推測)、つい「何やってんだよ」とか言ってしまう(推測)、そういう結構めんどくさいやつですね。

もちろん、KAMに書かなくても、そういう面倒な手続きはあるのですが、KAMに書くとなると、一層手続きに力が入ったことと思われます。

監査報酬の交渉、がんばってください(推測)。

今日はここまでです。

では、では。

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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