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インボイス制度:簡易課税を採用している事業者への影響

前回に引き続き、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)についてです。

前回は免税事業者のことを書いたので、今日は簡易課税を採用している事業者のことを書きます。

0. この記事のポイント

簡易課税制度の適用を受けている事業者は、仕入税額控除にあたって適格請求書の保存が不要なので、仕入側の立場では、インボイス制度導入の影響は受けません。ただ、売上側の立場で、適格請求書を発行したい場合には、適格請求書発行事業者の登録手続きを行う必要があります。

 

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1. 簡易課税制度とは

まず、簡易課税制度とは、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高をベースに仕入控除税額の計算を行うことができるという制度です。具体的には、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合(「みなし仕入率」。事業区分ごとに90%~40%)として計算します。

基準期間(課税期間の前々年または前々事業年度)の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、この簡易課税制度の適用を受けることができます。

2. 簡易課税制度の適用を受けている事業者にとってのインボイス制度

インボイス制度は、シンプルには「適格請求書(インボイス)の保存がない場合、仕⼊税額控除が不可になる」というものです。

一方、上記のとおり、簡易課税制度においては、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合として計算するので、実際の課税仕⼊れ等に係る税額自体を計算しません。

そのため、消費税に限って言うのであれば、簡易課税制度の適用を受けている事業者については、適格請求書の保存も必要ないと考えられます。

その意味で、仕⼊サイドでみれば、インボイス制度導入の影響は受けないのではないかと思います。

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3. 適格請求書発行事業者の登録

簡易課税制度の適用を受けている事業者も、適格請求書を発行したい場合には、適格請求書発行事業者の登録手続きを行う必要があります(登録手続きについてはこちら)。

免税事業者とは違って、別に登録に障害もないですし、普通は登録するんでしょうね。

ただ、取引先が仕入税額控除を行わないのであれば、必ずしも適格請求書を交付する必要はありません。なので、例えば、顧客が消費者だけの場合なんかは、別に登録しなくてもいいかもしれません(このあたりは、以下の記事にまとめました)。

 

今日はここまでです。

では、では。

■インボイス制度に関する記事の一覧はこちら

 

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この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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