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インボイス制度:任意組合(JVその他の共同事業)への影響

前回に引き続き、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)についてです。

0. 要点

任意組合等については、その組合員の全てが適格請求書発行事業者である場合に限って、一定の届出を前提に、任意組合等が事業として行う取引について、適格請求書を交付することができます(売上側)。また、任意組合の共同事業として課税仕入れを行う場合、幹事会社が各社に適格請求書のコピーと精算書など交付し、各社はそれをもとに仕入税額控除を行う形になります(仕入側)。

 

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1. 任意組合等

人にもよると思いますが、私は仕事上で任意組合を見かけることが多いです。

エンターテインメント系の共同事業なんかがそうですね。あとは、建設工事なんかもあると思います。

今日は複数社で任意組合を組成している場合の取扱いについて考えたいと思います。

「売上側の視点→仕入側の視点」の順番で考えます。

2. 売上側の視点:任意組合等に係る事業の適格請求書の交付

まずは、売上側の視点からです。

(1) 適格請求書の交付は原則禁止

任意組合等の組合員である適格請求書発行事業者において、任意組合等の事業として行った取引(課税資産の譲渡等)については、原則として、適格請求書を交付してはならないこととされています。

これは、任意組合等の場合、基本的に組合員課税(パススルー課税)が行われるため、組合員の中に適格請求書発行事業者「以外」の事業者が混在している場合に、売上側と仕入側の消費税額に関する認識を揃えるのが難しいためと考えられます。

(2) 組合員の全てが適格請求書発行事業者なら交付可

逆にいうと、その組合員の全てが適格請求書発行事業者である場合には、任意組合等が事業として行う取引については、適格請求書を交付することができます。ただし、この例外規定の適用を受けようとする任意組合等の業務執行組合員は、その組合員のすべてが適格請求書発行事業者である旨を記載した届出書に、当該任意組合等の契約書の写しを添付し、所轄税務署長に提出しておく必要があります。

この場合、任意組合等のいずれかの組合員が適格請求書を交付することができ、その写しの保存は、適格請求書を交付した組合員が行うこととなります。

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(3) 任意組合が交付する適格請求書の記載事項

任意組合等の事業として行われる取引について、適格請求書を交付する場合、適格請求書に記載する「適格請求書発行事業者の氏名または名称及び登録番号」は、原則として組合員全員のものを記載することとなります。

しかしながら、以下の事項を記載することも認められます

(1) その任意組合等のいずれかの組合員の「氏名または名称及び登録番号」
(2) その任意組合等の名称

ちなみに、上記(1)については、一または複数の組合員の「氏名または名称及び登録番号」で差し支えないとされています。

なお、そもそもの適格請求書の記載事項については、以下の記事をご参照ください。

 

(4) 適格請求書発行事業者以外が組合員になった場合

適格請求書の交付について、少し気を付けるべき点があります。

すなわち、以下に該当することとなった場合、該当することとなった日以後の取引について、適格請求書を交付することができなくなります(業務執行組合員がその旨を記載した届出書を速やかに納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります)。

  • 適格請求書発行事業者でない新たな組合員を加入させた場合
  • 当該任意組合等の組合員のいずれかが適格請求書発行事業者でなくなった場合
  • 適格請求書を交付するためには、組合員の全てが適格請求書発行事業者であることが必要だということですね。

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    3. 仕入側の視点:任意組合の構成員が保存しなければならない請求書等

    次に、視点を切り替えて、仕入側の視点です。

    適格請求書等保存方式の下では、適格請求書など請求書等の保存が仕入税額控除の要件となります。

    ここで、任意組合の共同事業として課税仕入れを行う場合、仕入先から交付される請求書等は、幹事会社が保管する一方、幹事会社が精算書など交付する形で、それを各構成員の配分するのが一般的と考えられます。

    この場合、幹事会社が外部の仕入先から各構成員の持分に応じた適格請求書の交付を受けることは現実的ではなく、幹事会社が課税仕入れの名義人となっているケースが多いのではないかと思います。

    (1) 適格請求書のコピー+精算書

    このようなケースの取扱いですが、構成員である各社が仕入先から適格請求書の交付を受け、保存することまでは求められていません。

    すなわち、各構成員においては、「幹事会社が仕入先から交付を受けた適格請求書のコピー」に「各構成員の出資金等の割合に応じた課税仕入れに係る対価の額の配分内容を記載したもの」を受け取っておけば、それをもって仕入税額控除のために保存が必要な請求書等に該当するものとして取り扱うことができます。

    (2) 精算書のみ

    また、任意組合の構成員に交付する適格請求書のコピーが大量となる等の事情により、立替払を行った幹事会社が、コピーを交付することが困難なときは、幹事会社が仕入先から交付を受けた適格請求書を保存し、精算書を交付するという対応もOKです。

    この場合、各構成員は「幹事会社が作成した(立替えを受けた構成員の負担額が記載されている)精算書」の保存をもって、仕入税額控除を行うことができるためです。

    以上は通達(消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達)のお話なのですが、Q&A(消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A)では、このケースで幹事会社に求められる対応として、精算書に記載されている仕入れ(経費)について、各構成員が仕入税額控除を受けるために必要な事項を記載しておくことが挙げられています(具体的には、仕入税額控除が可能なものかどうかを明らかにし、また、適用税率ごとに区分するなど)。

    なお、各構成員で仕入税額控除を行うためには、帳簿に「課税仕入れの相手方の氏名または名称」の記載が必要となります。また、幹事会社によるその仕入れ(経費)が適格請求書発行事業者からのものかどうかの確認も必要なので、幹事会社が各構成員に対して、その仕入先の登録番号なども伝える必要があるかもしれません。

    今日はここまでです。

    では、では。

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    この記事を書いたのは…
    佐和 周(公認会計士・税理士)
    現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

     

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