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インボイス制度:2割特例が適用できない課税期間のパターン7つ

今週は、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)のことを書いてます。

2023年4月に国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」が改訂されたので(詳細はこちら)、そこで新たに追加された項目について。

今回のテーマは、2割特例が適用できない課税期間のパターンで、Q&Aで挙げられている7パターンをご紹介します。

 

1. 2割特例の適用期間

昨日書いたとおり、2割特例(小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置)は、適格請求書発行事業者の令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、免税事業者(「消費税課税事業者選択届出書」の提出により課税事業者となった免税事業者を含む)が適格請求書発行事業者となる場合に適用可能です。

Q&Aでは、この2割特例を適用できない課税期間のパターンが7つ列挙されています。

私はお仕事では扱わないので、これも趣味で書いていますが、2割特例は結構トラップが多そうなので、専門家の方は大変だろうなと思います。

2. 2割特例が適用できないパターン

以下、7つのパターンを(Q&Aに従って)さらに4つに類型化します。

(1) 過去の売上が一定金額以上ある場合

2割特例が適用できないパターンの1つ目は、過去の売上が一定金額以上あるケースであり、具体的には以下のとおりです。

① 基準期間の課税売上高が1千万円を超える課税期間
② 特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例により、事業者免税点制度の適用が制限される課税期間
③ 相続・合併・分割があった場合の納税義務の免除の特例により、事業者免税点制度の適用が制限される課税期間(相続については例外あり)

これはさすがに大丈夫そうです。相続とかはよく知らないですけど。

(2) 新たに設立された法人が一定規模以上の法人である場合

2割特例が適用できないパターンの2つ目は、新たに設立された法人が一定規模以上の法人であるケースであり、具体的には以下のとおりです。

④ 新設法人・特定新規設立法人の納税義務の免除の特例により事業者免税点制度の適用が制限される課税期間

なるほど。

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(3) 高額な資産を仕入れた場合

2割特例が適用できないパターンの3つ目は、高額な資産を仕入れたケースであり、具体的には以下のとおりです。

⑤ 「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者となった後2年以内に本則課税で調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合において、「消費税課税事業者選択不適用届出書」の提出ができないことにより、事業者免税点制度の適用が制限される課税期間(注)
⑥ 新設法人及び特定新規設立法人の特例の適用を受けた課税期間中に、本則課税で調整対象固定資産の仕入れ等を行ったことにより、事業者免税点制度の適用が制限される課税期間
⑦ 本則課税で高額特定資産の仕入れ等を行った場合(棚卸資産の調整の適用を受けた場合)において、事業者免税点制度の適用が制限される課税期間

(注) 免税事業者に係る登録の経過措置の適用を受けて適格請求書発行事業者となった者は、「消費税課税事業者選択届出書」の提出をして課税事業者となっていないため、これには該当しません。

一応書いておきますが、調整対象固定資産と高額特定資産の定義は以下のとおりです。

調整対象固定資産:
一の取引単位につき、課税仕入れ等に係る支払対価の額(税抜き)が1百万円以上の棚卸資産以外の資産
高額特定資産:
一の取引単位につき、課税仕入れ等に係る支払対価の額(税抜き)が1千万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産

うん、このへんは深く考えるのはよそう。

(4) 課税期間を短縮している場合

2割特例が適用できないパターンの4つ目は、課税期間を短縮しているケースです。

要は課税期間の特例の適用を受ける課税期間ということですが、これは「消費税課税期間特例選択届出書」の提出により、課税期間を一月または三月に短縮している課税期間のことであり、届出書の提出により一の課税期間とみなされる課税期間も含みます。

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3. もう1つのパターン

ちなみに、Q&Aでは、もう1つ「2割特例が適用できないパターン」が挙げられています。

これについては、明日書きます。

今日はここまでです。

では、では。

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この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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