グローバル・ミニマム課税:⑤調整後対象租税額(=調整対象税金)とは(大綱)
一昨日(2022年12月16日)、令和5年度与党税制改正大綱が公表されたので、そのうち「グローバル・ミニマム課税への対応」という項目について、1記事あたり10分で(W杯決勝開始から逆算)、少しずつ書いています。
端的には、GloBEルール(第2の柱)のうちIIRに関するお話で、今回は調整後対象租税額がテーマです。
Table of Contents
1. GloBEルールにおける調整対象税金
前提として、GloBEルールにおける調整対象税金(Adjusted Covered Tax)は、当期税金費用(current tax expense)の額に対して、一定の調整を行う形で計算されます(以下の記事参照)。
具体的な調整内容としては、諸々の加減算項目のほか、繰延税金調整(一時差異に係る調整)もあり、そのベースは、会計上の繰延税金費用の額(deferred tax expense)です。
なので、日本の言い方だと、「法人税、住民税及び事業税」に「法人税等調整額」も加味して、さらにその他の調整がある感じです。
2. 調整後対象租税額
大綱によると、「調整後対象租税額」は、国別実効税率を計算するための基準とすべき税の額です。要は分子です。
そのベースは、構成会社等(または共同支配会社等)の「当期純損益金額に係る対象租税の額」及び「税効果会計の適用により計上される対象租税の調整額」とされています。
なので、よくわかりませんが、概念的には「法人税、住民税及び事業税+法人税等調整額」に対応してるっぽいです。
ただ、大綱では、調整後対象租税額は、これに以下の調整等を行って計算した金額とされています。
(2) 外国子会社合算税制または外国におけるこれに相当する税制により構成会社等(または共同支配会社等)の所得相当額に対して課された税額について、一定の方法によりその構成会社等(または共同支配会社等)に配分を行う
これが(上記の記事の)GloBEルールにおける調整対象税金とどの程度対応しているのかはわかりません。
3. 対象租税
上記の「対象租税」とは、構成会社等(または共同支配会社等)の所得に対する法人税その他の一定の税をいいます。
このあたりも大綱だけではよくわかりません。
今回はここまでです。
では、では。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。