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グローバル・ミニマム課税:④国別グループ純所得の金額(=純GloBE所得)とは(大綱)

一昨日(2022年12月16日)、令和5年度与党税制改正大綱が公表されたので、そのうち「グローバル・ミニマム課税への対応」という項目について、1記事あたり10分で(W杯決勝開始から逆算)、少しずつ書いています。

端的には、GloBEルール(第2の柱)のうちIIRに関するお話で、今回は国別グループ純所得の金額(=純GloBE所得)がテーマです。

 

1. GloBEルールにおける純GloBE所得

前提として、純GloBE所得(Net GloBE Income)は、端的には、その国・地域に所在する各構成事業体に係るGloBE所得とGloBE損失の合計額です(以下の記事参照)。

 

GloBE所得とGloBE損失に違いはなく、プラスの金額であればGloBE所得(GloBE Income)、マイナスの金額であればGloBE損失(GloBE Losses)という言い方をするだけです。

これらのベースとなる金額は、構成事業体の会計上の純損益(Financial Accounting Net Income or Loss)であり、これに諸々の調整を加える流れになります。

色々とわからないことも多いですが、大綱の「国別グループ純所得の金額」もだいたい同じような感じです。

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2. 国別グループ純所得の金額

大綱によると、国別グループ純所得の金額とは、以下の(A)から(B)を控除した残額をいいます。

(A) その所在地国を所在地国とする全ての構成会社等に係る「個別計算所得金額」の合計額
(B) その所在地国を所在地国とする全ての構成会社等に係る「個別計算損失金額」の合計額

これが国別実効税率の分母になります。

3. 個別計算所得金額と個別計算損失金額

もう少し見ていくと、個別計算所得金額と個別計算損失金額について、それぞれの定義は以下のとおりです。

個別計算所得金額:個別計算所得等の金額が零を超える場合におけるその零を超える額
個別計算損失金額:個別計算所得等の金額が零または零を下回る場合のその零またはその零を下回る額

単にプラスか否かの違いです。

これらをベースに国別グループ純所得の金額を計算するのは難しいことではないと思います(やったことないから、わからないけど)。

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4. 個別計算所得等の金額

さらに進めると、上記の個別計算所得等の金額については、「当期純損益金額」がベースになります。

当期純損益金額は、最終親会社等の連結財務諸表等の作成の基礎となる構成会社等の純損益とされているので、上記のGloBE所得等と同じです。

また、個別計算所得等の金額は、当期純損益金額そのままではなく、以下の調整等を行って計算した金額とされています。

(1) 構成会社等の恒久的施設等がある場合において…
・その恒久的施設等に係る個別財務諸表があるときは、その個別財務諸表に基づいて、当期純損益金額のうち恒久的施設等に帰せられる金額を計算する
・その恒久的施設等に係る個別財務諸表がないときは、その恒久的施設等が独立した会社等であるものとして、当期純損益金額のうち恒久的施設等に帰せられる金額を計算する

(2) 当期純損益金額のうちに含まれる以下の金額等を除外する
①構成会社等が1年以上保有している所有持分または一定の保有割合を有する所有持分に係る受取配当等
②国際海運所得等

え、これだけでいいんですか? そうだったらいいのにな(モデル・ルールとの対比では、そんなわけなさそうですけど)。

今回はここまでです。

では、では。

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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