インボイス制度:契約書はそれ自体で適格請求書に該当するか
今日も、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)のことを書きます。
ちょっと頼まれた調べ物があったので、そのことについて。
Table of Contents
0. この記事のポイント
1. 逐条解説
調べていたのは、端的には、「契約書をもって適格請求書として取り扱うことができないか」です。
これ、クライアントの方から聞かれたのですが、私も同じ疑問を持ってました(頼まれなければ調べないスタンス)。
答えは、インボイス通達の逐条解説にありました(以下の『消費税インボイス制度の実務とQ&A』という本に収録されてます)。
具体的には、「適格請求書の意義」に関する通達の解説に【参考】として、「契約書はそれ自体で適格請求書に該当するか」という項目があります。
2. 口座振替等で契約書を基礎に仕入税額控除を行う場合
前提として、契約書に基づいて口座振替等が行われる取引については、契約書に登録番号などを追加(別途通知)したうえで、通帳とセットで適格請求書として扱う等の対応が可能です(詳細は以下の記事に書きました)。
そうすると、「じゃあ、契約書に全部書いてしまったらいいんじゃない?」という疑問があり得ると思います。
3. 逐条解説に書いてあること
でも、逐条解説では、一般に契約書自体が適格請求書に該当することはないと書いてあります。
仮に今後行われる取引の時期や期間についての記載があったとしても、適格請求書の記載事項である「課税資産の譲渡等を行った年月日」を記載したこととはならないそうです。
あんまり突き詰めても仕方ない話題ですけど、これは、適格請求書の位置付けも影響してるっぽいです。
つまり、適格請求書には、「課税資産の譲渡等を行った時点」で、取引の相手方が適格請求書発行事業者であることを証するもの、という位置付けもあるという話です。
なるほど。
なので、結局は契約書単独ではダメで、上記の記事のような対応が必要になるってことですね。
今回はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。