1. HOME
  2. ブログ
  3. 消費税
  4. インボイス制度:コインパーキングの利用料金に係る仕入税額控除

BLOG

佐和周のブログ

消費税

インボイス制度:コインパーキングの利用料金に係る仕入税額控除

もう1つ、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)のことを書きます。単にアップするのを忘れていただけなのですが。

テーマは、コインパーキングの利用料金です。

0. この記事のポイント

コインパーキングの利用料金については、国税庁のQ&Aにおいて、自動販売機特例の適用がないことが明記されています。したがって、インボイス制度導入後は、仮に料金が3万円未満であっても、仕入税額控除のためにインボイス(おそらく適格簡易請求書)の保存が必要になります。

 

 

1. 現行制度上の取扱い

前提として、現行制度では、少額取引(課税仕入れの対価 3 万円未満)については、一定の事項が記載された帳簿の保存のみで仕入税額控除を受けることができます(つまり、請求書等の保存は不要)。

コインパーキングの利用料金はこれに該当することが多いんじゃないかと思います。

もちろん、3万円未満でもレシートは保存しているはずですが、現行制度において、コインパーキングの利用料金に係る仕入税額控除が問題になることはないんじゃないでしょうか(知らんけど)。

2. インボイス制度上の取扱い

一方で、インボイス制度の下では、この「3万円未満なら一律セーフ」という取扱いがなくなります。つまり、少額取引であっても、仕入税額控除の際にはインボイス(適格請求書)の保存が必要になります。

ただ、インボイス制度の下でも、公共交通機関特例や自動販売機特例という形で、一部「3万円未満ならセーフ」という取扱いは残っています(詳細はこちら)。

スポンサーリンク

 

3. コインパーキングに自動販売機特例の適用なし

このうち、コインパーキングの利用料金に関係しそうなのは自動販売機特例のほうです。

この特例は「3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等」について、インボイスの保存を不要とするものです。もう少しいうと、「代金の受領」と「資産の譲渡等」が自動で行われる機械装置であって、その機械装置のみで両方が完結するものが対象になります。

定義はややこしいですけど、「自動販売機による飲食料品の販売」がその典型で、国税庁のQ&A(消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A)では、「コインロッカーやコインランドリー等」についても、この自動販売機特例の適用があることが示されています。

一方で、コインパーキングについては、Q&Aにおいて、自動販売機特例の適用はないことが明記されています(2022年4月のQ&A改訂。詳細はこちら)。

コインパーキングの場合、「代金の受領(と券類の発行)」はその機械装置で行われるものの、サービスの提供(=資産の譲渡等)がその機械装置で行われるわけではないからだそうです。難しいな(笑)

自動販売機特例の要件を充足しようと思うと、通常の駐車スペースではなく、コインパーキングの機械の中に駐車する必要があるということなんでしょうか(コインロッカーの要領で)。かなりの高等技術が必要になりそうです。たまにコインパーキングの場内機械に車をぶつけている人がいますけど、それだと「惜しい」ということになるんでしょうね(知らんけど)。

スポンサーリンク

 

4. 結論としては

まとめると、コインパーキングの利用料金については、特別な取扱いはなく、基本的に適格請求書の保存が仕入税額控除の要件になるので、ちゃんとレシートとかを保存しておく必要があります。

駐車場業(不特定かつ多数の者に自動車その他の車両の駐車のための場所を提供するもの)であれば、たぶん適格簡易請求書でいいんでしょうけど(詳細はこちら)、それでも一定の要件を充足するレシートでないと仕入税額控除は不可になりそうです。めんどくさ。

【2022年11月追記】
2022年11月のQ&Aの改訂により、コインパーキングは駐車場業(不特定かつ多数の者に対するもの)に該当し、適格簡易請求書を交付可能ということが明記されました。

また税務通信とかで特集してくれるんでしょうか。

とはいえ、めちゃくちゃコインパーキングを使う企業以外にとっては、これは些末な話のはずです。一方で、大変なのはコインパーキングのオーナーのほうですね。特にもともと免税事業者だったら、課税事業者への転換なんかも考えないといけないし。

今日はここまでです。

では、では。

■インボイス制度に関する記事の一覧はこちら

 

インボイス制度に関するオススメの書籍です(私の本ではないです。制度開始後の6訂版です。「決定版」らしいです。3訂版の紹介記事はこちら)。

6訂版 Q&Aでよくわかる消費税インボイス対応要点ナビ【決定版】(Amazon)

インボイス制度をカバーした『海外取引の経理実務 ケース50』の3訂版です(私の本です。紹介記事はこちら)。

これだけは押さえておこう 海外取引の経理実務 ケース50〈第3版〉(Amazon)

 

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

関連記事

佐和周のブログ|記事一覧

スポンサーリンク