インボイス制度:委託者&受託者における委託販売手数料部分の取扱い
2021年7月30日に国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」が改訂されたので(詳細はこちら)、その内容についてです。
Table of Contents
0. この記事のポイント
1. 委託販売手数料部分の取扱い
委託販売の場合の適格請求書の交付などについては、委託者側と受託者側に分けて、以下の記事にまとめました。
今日は、ちょっと違うお話で、委託販売手数料部分の取扱いについて、改訂後のQ&Aで明確化された点に触れたいと思います。
2. 委託者がネット処理を採用する場合
委託者側は、委託販売等について、原則グロス処理ですが、例外的にネット処理が認められます。
ネット処理というのは、受託者に支払う委託販売手数料を除いてもいいということです。
つまり、軽減税率の適用対象とならない課税資産の譲渡等のみを行うことを委託している場合、その課税期間中に行った委託販売等の全てについて、その資産の譲渡等の金額から受託者に支払う委託販売手数料を控除した残額を委託者における資産の譲渡等の金額とすることも認められています。
この点は特に現行制度と変わりありませんが、改訂後のQ&Aで明確化されたのは、ネット処理をする場合に、委託販売手数料に係る適格請求書等の保存が必要になるという点です。
Q&Aには、もうちょっと細かく、以下のように書いてあります。
これはそうだろうなと思います。
3. 受託者がグロス処理を採用する場合
今度は、話が変わって受託者側です。
受託者側は、委託販売等について、原則ネット処理(委託販売手数料の計上)ですが、例外的にグロス処理が認められます。
グロス処理というのは、委託者から軽減税率の適用対象とならない課税資産の譲渡等のみを行うことを委託されている場合、委託された商品の譲渡等に伴い収受する金額を課税資産の譲渡等の金額とし、委託者に支払う金額を課税仕入れに係る金額とするという処理です。
この点も特に現行制度と変わりありませんが、改訂後のQ&Aで明確化されたのは、グロス処理する場合でも、委託者に支払う金額に係る課税仕入れに関して、適格請求書等の保存は不要ということです。
よかったですね。
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。