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佐和周のブログ

移転価格税制の基礎

第1回 移転価格税制の対象 国外関連者とは?

今回から、移転価格税制の内容に入っていきます。

まずは超基本の「移転価格税制の適用対象」のお話で、「国外関連者と国外関連取引」シリーズを始めたいと思います。

移転価格税制の適用対象は、国外関連者との取引なので、国外関連者の定義が問題になります。それが50%「超」の株式等の保有関係であれば、話はスムーズなのですが、実際には50%「以上」なので、ちょっと面倒な問題が発生します。今日はそういったお話です。

 

移転価格税制の適用対象

移転価格税制の適用対象は「国外関連取引」、つまり、法人と国外関連者との間の取引です。そこで、まず考えるべきは「国外関連者」の定義になります。

国外関連者とは

国外関連者とは、法人との間に、直接または間接の50%以上の株式等の保有関係や実質的支配関係(役員関係・取引依存関係・資金関係など)といった特殊の関係がある外国法人をいいます。

直接または間接の50%以上の株式等の保有関係なので、親子関係のほか、兄弟関係等も含みます。親子関係については、たぶん海外に子会社があるケースのほうが圧倒的に多いでしょうけど、外国法人が親会社の場合もありますね。

国外関連者の判定

ポイント集(国税庁 「移転価格税制の適用におけるポイント」)では、この国外関連者の判定について、「アニュアルレポート、有価証券報告書、資本関係図、役員名簿や出向辞令、借入等に係る契約書、稟議書などの書類」により事実確認を行うこととされています。

まあ、自社の国外関連者を把握していないことはあまりないでしょうけど、こういう資料を見られるってことですね。

唯一問題になるとすれば、海外なので、名義株があるケースでしょうか。税務はだいたいそうですが、名義株は、その実際の権利者が所有するものとして特殊の関係の有無を判定します

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え、50%「以上」?

50%以上の株式等の保有関係という基準について、何か気付かれる点はあるでしょうか?

国外関連者の定義は50%「以上」ですけど、会計の感覚だと50%「超」ですよね。

何が言いたいかというと、海外に50:50のJV(ジョイント・ベンチャー)を作ると、そのJVが移転価格税制の適用対象になってしまうということです。

これってすごく面倒じゃないですか? 50%超の海外子会社でさえ、その社長が偉い人だったら全然言うことを聞いてくれないのに、現地パートナーと50:50で運営しているJVが思い通りになるわけないですよね。そんな状況でも、移転価格税制上は、そのJVと取引するなら、基本的に第三者価格で取引しないといけないということです。

国外関連者に対する寄附金の問題

もうちょっというと、この点が実務で問題になるのは、主に寄附金の話です。国外関連者に対する寄附金の話は盛りだくさんなので、移転価格税制を一通りお伝えした後で書こうと思いますが、いまは端的に言っておくと、「国外関連者は第三者と思って、国外関連者に何かやってあげたら、その対価を回収しないといけない」ということです。

例えば、日本企業が海外JVのサポートのために、人を派遣したとします。技術者でもなんでもいいです。そうすると、そのサポートは「役務提供」という取引になるので、対価を回収しなければなりません。もし対価を回収しないと、その対価の分を海外JVに寄附したような取扱いになります。で、国外関連者に対する寄附金の場合、これが全額損金不算入になってしまうと。

50:50の海外JVはコントロールできない

だから、思い通りにならない海外JVを持っていると、そのJVは「いや、うちは払いたくない」と言ってきて、それが国外関連者に対する寄附金になり、税務上のデメリットが発生するというのがよくある流れです。

こういう問題が発生する元凶は、50:50の海外JVが国外関連者の定義に含まれてしまうことですよね。そもそも過半数も持たず、支配していない投資先が対象になるのが、変なんですよね。

だから、税務調査で海外JVが問題になったら、「いやいや、そもそもこっちでコントロールできないんで」という雰囲気を前面に出したりします。こころなしか、50%超を持っている海外子会社のときよりも、調査官も同情的な気がします。気のせいかもしれませんが。

ちょっと寄附金の話になってしまいましたが、今日は国外関連者の定義のお話でした。

あ、ちなみに移転価格税制の適用対象となる保有割合は国によってまちまちなので、海外子会社側の視点でも考えないといけないですよ。

今日はここまでです。

では、では。

■移転価格税制に関するトピックの一覧はこちら

 

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