インボイス制度:10月1日時点で登録番号が分からない場合のインボイス交付
引き続き、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)のお話です。
国税庁は2023年8月、「制度開始に向けて特にご留意いただきたい事項」を公表しました。
今日は、そのうち「10月1日に登録通知が未達の場合の対応」という項目について。
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1. 10月1日に登録通知が未達の場合の対応
「制度開始に向けて特にご留意いただきたい事項」の「インボイスの交付対象時期」という項目には、「10月1日を迎えても登録通知書が届かないが、どうインボイスを交付するか?」という質問があります。
これに対する答えとして、以下の3パターンの対応が示されています。
または
(2) 通知を受けるまでは登録番号のない請求書等を交付し、通知後に改めてインボイスを交付し直す
または
(3) 通知後にすでに交付した請求書等との関連性を明らかにした上で、インボイスに不足する登録番号を書類やメール等でお知らせする
2. 小売店などで事後交付が困難な場合
上記の対応自体は特に目新しい情報ではないのですが、結構いいことが書いてあるなあと思ったのが、「事後交付が困難な小売店などはどう対応するか?」という追加のQです。
これに対する答えとして、以下のような対応が示されています。
○事業者のHP等において「弊社の登録番号は『T1234…』となります。令和5年10月1日から令和5年●月●日(通知を受けた日)までの間のレシートをお持ちの方で仕入税額控除を行う方におきましては、当ページを印刷するなどの方法により、レシートと併せて保存してください」と掲示する
○買手側からの電話等に応じ、登録番号をお知らせし、相手方にその記録をレシートと併せて保存してもらう
こういう情報を出してあげるのは、ほんと親切だなあと思います(お客さんが「登録番号を教えてください」と電話してくる謎の状況を思い浮かべると、微笑ましいですけど)。
一応これらの取扱いは、登録申請は令和5年9月までに行ったものの、令和5年10月1日までに登録番号の通知が届かなかった場合の経過的な取扱いであることが明記されています。
言い換えると、登録番号を記載したインボイスを交付できるようになった日以降は、記載事項を満たしたインボイスを交付する必要があるということです。
3. 「制度開始に向けて特にご留意いただきたい事項」の内容
一応、国税庁のフォーマットも貼っておきます。
(出典:国税庁 「制度開始に向けて特にご留意いただきたい事項」)
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。