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資産除去債務の算定:②割引前の将来キャッシュ・フロー

今週は、私が苦手な資産除去債務のことを書いています。

色々とあって、会計基準を見返しているところです。

 

1. 資産除去債務の計算要素

資産除去債務の計算要素としては、以下の2つがあります。

  • 有形固定資産の除去に要する(割引前の)将来キャッシュ・フロー
  • 割引率

今回はこのうち、将来キャッシュ・フローについて。

2. 割引前将来キャッシュ・フローの見積りにあたっての留意点

自己の支出見積りとしての有形固定資産の除去に要する割引前の将来キャッシュ・フローを見積る際、その基礎とすべき情報は、以下のとおりです。

(1) 対象となる有形固定資産の除去に必要な平均的な処理作業に対する価格の見積り
(2) 対象となる有形固定資産を取得した際に、取引価額から控除された当該資産に係る除去費用の算定の基礎となった数値
(3) 過去において類似の資産について発生した除去費用の実績
(4) 当該有形固定資産への投資の意思決定を行う際に見積られた除去費用
(5) 有形固定資産の除去に係る用役(除去サービス)を行う業者など第三者からの情報

以下、簡単に見ていきます。

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(1) 有害物質等に汚染された有形固定資産

上記(1)の関係で、有害物質等に汚染された有形固定資産については、法令等によりその平均的な処理作業が定められ、その工程が明確にされているため、ほぼ画一的に将来キャッシュ・フローを見積れる場合があります。

このように、将来キャッシュ・フローの発生時期の見積りに必要な情報が得られるときには、インフレーション等を考慮し、当該発生時期における将来キャッシュ・フローを見積った上で、現在価値に割引くこととなります。

(2) 除去費用が明らかになっている場合

上記(2)の関係で、有害物質等が含まれる固定資産を売買する場合、法令に基づき売り手に告知義務が課され、売買金額から除去費用相当額が控除されるケースがあります。

このように、新たに取得した有形固定資産(あるいは類似の資産)について、除去費用が明らかとなっている場合には、その金額を基礎とすることが可能とされています。

(3) 過去に類似の資産について発生した除去費用の実績

上記(3)の関係で、除去について平均的な処理作業に要する価格が明らかでない場合、過去において類似の資産について発生した除去費用の実績を基礎として将来キャッシュ・フローを見積ることが考えられます。

また、適用指針では、各地域に分散した多数の同種の資産について将来キャッシュ・フローを見積る場合、毎期末時点で、発生実績などに基づき、除去が予想される固定資産の面積等を見積り、過去の実績から算定された面積当たりの除去費用を乗じて見積ることが考えられるとされています。

(4) 投資の意思決定を行う際に見積られた除去費用

上記(4)のとおり、適用指針では、投資の意思決定を行う際に見積られた除去費用も割引前の将来キャッシュ・フローを見積る際に基礎とすべき情報に含まれていますが、実際にはこれがどの程度参考になるのかは、個人的には微妙な気がします。

(5) 第三者へ見積り依頼の要否

上記(5)の関係で、適用指針では、合理的で説明可能な仮定及び予測を置くに際し、第三者からの情報を適宜利用することが考えられるとされています。

逆にいうと、除去サービスを行う業者など、第三者へ見積りを依頼することまでは求めないということなんだと思います(資産除去債務の測定値の属性は、あくまでも自己の支出見積りなので。知らんけど)。

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3. インフレ率・見積値からの乖離リスクなど

(1)から(5)により見積られた金額に対しては、インフレ率や見積値から乖離するリスクを勘案する必要があります。

前提として、割引前の将来キャッシュ・フローの見積金額には、生起する可能性の最も高い単一の金額(最頻値)または生起し得る複数のキャッシュ・フローをそれぞれの発生確率で加重平均した金額(期待値)を用いますが、いずれの場合でも、将来キャッシュ・フローが見積値から乖離するリスクを勘案する必要があります。

将来キャッシュ・フローが見積値から乖離するリスクは、基本的に資産除去債務の見積額を増加させる要素となります。

4. その他のポイント

その他、適用指針で挙げられているポイントは、以下のとおりです。

  • 合理的で説明可能な仮定及び予測に基づき、技術革新などによる影響額を見積ることができる場合には、これを反映させる
  • 多数の有形固定資産について同種の資産除去債務が生じている場合には、個々の有形固定資産に係る資産除去債務の重要性の判断に基づき、有形固定資産をその種類や場所等に基づいて集約し、概括的に見積ることができる
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5. 法人税等の影響額

将来キャッシュ・フローの見積りには、法人税等の影響額を含めないこととされています。

言い換えると、税引前のキャッシュ・フローを見積もるということです。

今日はここまでです。

では、では。

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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