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資産除去債務の定義における「法律上の義務に準ずるもの」とは

今週は、私が苦手な資産除去債務のことを書いています。

色々とあって、会計基準を見返しているところです。

 

1. 資産除去債務とは

「資産除去債務」とは、有形固定資産の取得、建設、開発または通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令または契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいいます。

つまり、法律上の義務だけでなく、「それに準ずるもの」も含みます。

法律上の義務に準ずるものも含むのは、企業が負う将来の負担を財務諸表に反映させるという趣旨からすれば、それは法律上の義務だけに限定されないためです。

2. 「法律上の義務に準ずるもの」とは

ここでいう「法律上の義務に準ずるもの」とは、債務の履行を免れることがほぼ不可能な義務を指し、法令または契約で要求される法律上の義務とほぼ同等の不可避的な義務が該当します。

同会計基準によると、具体的な判断は以下のとおりです。

法律上の解釈により当事者間での清算が要請される債務
→「法律上の義務に準ずるもの」に該当する

過去の判例や行政当局の通達等のうち、法律上の義務とほぼ同等の不可避的な支出が義務付けられるもの
→「法律上の義務に準ずるもの」に該当する

企業の自発的な計画のみによって行われる有形固定資産の除去
→法律上の義務に準ずるものには該当しない
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3. 判断が難しい

「法律上の義務」かどうかは比較的わかりやすいのですが、「法律上の義務に準ずるもの」かどうかの判断の仕方は正直よくわかりません。

例えば、法律上義務はないものの、「環境負荷や周辺住民の要望など、社会的な要請への配慮で建物を取り壊さざるを得ない」みたいな状況だと、資産除去債務会計基準の適用対象外になるようです。でも、本当に自発的な除去と整理できるのかは微妙です。

資産除去債務会計基準の適用対象外ということで、固定資産自体を減損処理したり、別途引当金を計上したりすれば、資産除去債務の計上とは損益配分も異なるわけで、実際のお仕事では、(主に監査法人の説明に)納得できないこともあります。

なので、こういうテーマで判断に迷うことがあったら、早めに関係各所と議論しておいたほうがいいと思います。

ということで、今日はここまでです。

では、では。

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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