インボイス制度:航空会社や旅行会社で購入する航空券(チケット)の取扱い
今週は、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)のことを書いてます。
以前に鉄道料金について書いたので、今日は航空券について書きます。
少し前ですが、税務通信(3734号)に解説がありました。
Table of Contents
1. 国内線に限定した話
航空券に関するインボイスのお話をする前提として、国際線の航空券代金は輸出免税です。
ということは、そもそも仕入税額控除の対象外なので、インボイス制度は関係ありません。
なので、今日は基本的に国内線限定のお話です。
2. 従業員の出張旅費等ならインボイス不要
じゃあ、国内線の航空券なら、インボイスが必要かというと、必ずしもそうではないです。
従業員の出張旅費等に含まれるもの(従業員との間で精算するもの)は、インボイス不要(帳簿保存のみで仕入税額控除可)なので。
これは鉄道料金の場合と同じですね。
3. 公共交通機関特例(適用なし)
一方、航空券代金については、鉄道料金とは異なり、「3万円」という金額基準はありません。
公共交通機関特例の適用がないためです。
つまり、3万円未満の場合でも、仕入税額控除のためにはインボイスの保存が必要だということです。
4. 航空会社のウェブサイトや空港などで航空券を購入する場合
まず、航空会社のウェブサイトや空港などで航空券を購入するケースについて。
この場合、領収書みたいなインボイスが簡単に出せるのではないかと思っていました。
しかし実際には、その領収書等には「課税資産の譲渡等の年月日(=飛行機の搭乗日)」が記載されないそうです。
あんまり国内線には乗らないので、「そうなんだ」という感じですが、その領収書だけだと、インボイス(適格請求書)の記載要件が不足しているということですね。
ということで、航空会社としては、利用者に搭乗日の記載があるもの(搭乗券や航空券)をセットで保存してもらい、それによりインボイス(適格簡易請求書)としての記載要件を満たすことを検討しているそうです。
5. 旅行会社等を通じて航空券を購入する場合
一方、旅行会社等を通じて航空券を購入するケースでは、媒介者交付特例を活用する方向で検討されているそうです。
媒介者交付特例については、以下の記事にまとめてあります。
要は、受託者である旅行会社が、委託者である航空会社に代わって、自らのインボイス(適格請求書)を交付するということですね。
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。