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インボイス制度:売手負担の振込手数料相当額に係る経理処理の変更

今週は、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)のことを書いてます。

2023年4月に国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」が改訂されたので(詳細はこちら)、そこで新たに追加された項目について。

今回のテーマは、売手負担の振込手数料相当額に係る経理処理の変更です。

 

1. 売手負担の振込手数料相当額

売手が負担する振込手数料相当額の取扱いについては、昨日まとめたとおりです(こちら)。

それを前提に、Q&Aでは、その経理処理の変更に関するQがあり、具体的な設定は以下のとおりです。

  • 売手が負担する振込手数料相当額について、従来は「支払手数料」として経理処理していた
  • インボイス制度の開始後においては、「売上げに係る対価の返還等」として経理処理することを考えている

そして、「この場合にどのような対応が必要になるか」というのがQの内容です。

2. 売手負担の振込手数料相当額の経理処理

これに対するAは非常にシンプルで、以下のとおりです。

支払手数料としての経理処理を適格請求書等保存方式の開始後、売上げに係る対価の返還等としての経理処理に変更することは問題ありません。

基本的には何も対応は必要ないってことですね。

ただ、Q&Aには、適用税率のお話で、もうちょっと追加があります。

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3. 適用税率の問題

端的には、売手負担の振込手数料相当額をどう整理するかにより、適用税率が変わってくる可能性があるというお話です。

具体的には、売上げに係る対価の返還等と整理する場合、その適用税率は、売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等の適用税率に従うため、軽減税率(8%)対象の課税資産の譲渡等を対象とした振込手数料相当額の売上値引きには、軽減税率(8%)が適用されます。

これは昨日も書きました。

ただ、売手負担の振込手数料相当額については、消費税法上、売上げに係る対価の返還等と整理しながらも、経理処理だけは支払手数料とすることも可能です(こちら)。

Q&Aでは、この場合であっても、適用税率は、売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等の適用税率に従うこととされています。また、適用税率に応じた区分のほか、帳簿に売上げに係る対価の返還等に係る事項を記載する必要性にも言及されています。

なので、「支払手数料のコードを売上げに係る対価の返還等と分かるように別に用意する」等の対応も挙げてくれています。いつも思いますが、国税庁ってこんな親切な組織だったかなあ。

今日はここまでです。

では、では。

■インボイス制度に関する記事の一覧はこちら

 

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この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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