インボイス制度:事務負担の軽減措置(少額特例)は「税込」1万円未満で判定
2023年1月20日(たぶん)に財務省のウェブサイトに「インボイス制度の負担軽減措置(案)のよくある質問とその回答」(以下FAQ)という資料が公表されました。
主な内容はこちらに書いたのですが、このブログでもその内容について少しずつ書いています。
今回は、一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)の具体的な判定について。
Table of Contents
1. 一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)
令和5年度の税制改正大綱には、大きく分けて4つの負担軽減措置がありますが、その中に「一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)」という項目があります(以下の記事をご参照ください)。
2. 「1万円未満」かどうかは税込金額で判定
この少額特例について、FAQでは、「税込・税抜のいずれで判定するか」というQがあります。
答えは「税込」で、少額特例は、「税込」1万円未満の課税仕入れが適用対象になります。
3. 「1万円未満」の判定単位
もう1つ、FAQでは、(税込)1万円未満を判定する際の「単位」に関するQがあります。
(1) 一回の取引の合計額で判定
そこでは、少額特例の判定単位として、一回の取引の合計額が1万円未満であるかどうかにより判定することとされています。
逆にいうと、課税仕入れに係る1商品ごとの金額により判定するわけではありません。
したがって、例えば、9,000円の商品と8,000円の商品を同時に購入した場合、少額特例の対象にはなりません(17,000円の取引であるため)。
(2) 月単位で判定
FAQでは、もう少しややこしいケースにも言及があります。
具体的には、以下のような場合には、少額特例の対象になるかどうか、というお話です。
- 月額200,000円(稼働日21日)で個人事業者に外注を行っている
- これを稼働日で按分すると1万円未満となる
これについては、月単位での取引(200,000円の取引)と考えられるので、少額特例の対象とはならないそうです。
少額特例の判定単位は、あくまでも一回の取引の合計額であるため、役務の提供については、通常、約した役務の取引金額によるということで。
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。