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佐和周のブログ

移転価格税制

第1回 移転価格事務運営要領の改正と金融取引に対する移転価格税制の適用

今回から、また移転価格税制の新シリーズです(移転価格税制コモディティ化計画の目次はこちら)。

 

1. 「金融取引」シリーズ

リクエストが多いので、「金融取引」シリーズにします。

2022年6月の移転価格事務運営要領の改正の影響もありますが、(少なくとも私の関係している企業の方々には)関心の高い分野なのだと思います。

もうちょっと実務が安定してから書こうと思っていましたが、企業の方々と話すことも増えてきたので、基礎的な部分だけまとめておきます。

2. 移転価格事務運営要領の改正(2022年6月)

金融取引については、事務運営指針の改正により、結構様変わりしました(他にも費用分担契約のところが変わってます)。

といっても、独自の改正というよりは、OECDの移転価格ガイドラインに整合させるための改正です。

このシリーズでは、改正後の事務運営指針を前提にしたいと思います。他の分野と同様、あんまり踏み込んでは書きませんが、事務運営指針だけではわからないことも多いので、ちょっとだけ補足を付けたいと思います。

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3. 金融取引に関する改正内容

金融取引の取扱いに関する具体的な改正内容ですが、だいたい以下のとおりです。

(1) 金銭の貸借取引

金銭の貸借取引(親子ローン)については、従来の金利設定に関する日本特有の考え方が無くなっています。

端的には、改正後は、普通に比較対象取引を探したり、借手側の信用格付を使ったりする必要があります。逆にいうと、従来のように(借手側ではなく)貸手側の調達レートや国債等による運用の利率をベースに金利設定することはできなくなりました。

また、これも密かに影響が大きそうですが、銀行などに見積金利(やスプレッド)を照会して、それをベースに金利設定するのも(一応は)アウトになっています。

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(2) 債務保証取引

海外子会社の資金調達については、親子ローンのほかに、子会社の外部借入れに対して、親会社が債務保証を行う場合も多いと思います。

このような債務保証取引について、従来は事務運営指針に特段の規定がありませんでしたが、改正により、移転価格税制上の取扱いが明確化されています。

といっても、債務保証については、保証する側と保証される側に信用力の差があって、それを前提に信用補完しているわけなので、移転価格税制云々に関係なく、保証する側としては対価(保証料)を回収して然るべきです。

ここまでは、(規定がなかった)従来でも同じ考え方をしていたのですが、事務運営指針の改正で明らかになったのは「保証料の水準をどのように設定すべきか」という点です(実際には、OECDのガイダンスがあったので、もっと前から分かってはいましたが)。

新しい事務運営指針では、いわゆるイールド・アプローチやコスト・アプローチなどが示されています。

ちなみに、イールド・アプローチというのは、債務保証なしの場合とありの場合の利率差をベースにする方法で、コスト・アプローチというのは、債務保証の対象である債務のデフォルト確率を勘案して算定した期待損失(率)をベースにする方法です(コスト・アプローチの一部と言っていいと思いますが、信用リスクが同じくらいのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッドを参照する方法もあるので、また今度書きます)。

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(3) その他

その他、キャッシュ・プーリングなどの関係で、役務提供取引についての検討が必要だったり、相互作用による共通便益の適切な配分についての検討が必要だったり、そんな取扱いも示されています。

とりあえず、今日はここまでです。

では、では。

■移転価格税制に関するトピックの一覧はこちら

 

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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