建設仮勘定は「いつ」仕入税額控除の対象になるか(消費税)
少し前、「消費税の基礎知識」シリーズということで、「仕入税額控除」をテーマに書いていたのですが、何らかのきっかけでそのことを忘れてしまい、ずっとほったらかしになっていました。
今回は、久々なのですが、建設仮勘定の仕入税額控除のタイミングについて書きます。
Table of Contents
0. この記事のポイント
1. 仕入税額控除を行うタイミング
まず、仕入税額控除は、基本的に課税仕入れを行った日の属する課税期間において行います。当たり前ですけど。
そして、課税仕入れを行った日とは、資産の譲受け等をした日や役務の提供を受けた日をいいます。
これは原則として、所得税法または法人税法で所得金額の計算をするときの資産の取得の日または費用の計上時期と同じです。
2. 建設仮勘定の取扱い
上記から、減価償却資産についても、課税資産等を取得した日の属する課税期間において、その全額を仕入税額控除の対象にすることになります。
ただ、建設工事の場合、一般に、部分的に引渡しを受けた工事の代金や経費(設計料や資材購入費など)の額を「建設仮勘定」として会計処理します。
で、目的物の全部が引き渡され、稼働開始したときに、固定資産の本勘定などに振り替えます。
この場合、いつ仕入税額控除を行うのでしょうか?
3. 建設仮勘定が税抜になる場合
「建設仮勘定」に含まれる資材の購入を例にとると、その課税仕入れを行った日(e.g. 資材の購入日)の属する課税期間において仕入税額控除を行うことになります。
この点は、その資材の購入費が建設仮勘定に含まれているか否かを問いません。
つまり、その都度仕入税額控除を行うということです。
言い方を変えると、この場合、建設仮勘定は税抜になります。
4. 建設仮勘定が税込になる場合
ただし、「建設仮勘定」として処理した課税仕入れについては、特別な処理方法も認められています。
すなわち、工事の目的物の「すべて」の引渡しを受けた日の属する課税期間において、仕入税額控除を行う方法を採用することも可能です。
逆にいうと、上記とは異なり、その都度仕入税額控除を行わないということです。
この場合、建設仮勘定は税込になります。
両方のパターンがあるってことですね。
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。