同業者団体等の会費・入会金は仕入税額控除の対象になるか(消費税)
「消費税の基礎知識」シリーズということで、いまは「仕入税額控除」をテーマに書いています。
今回は、同業者団体等の会費・入会金です。
Table of Contents
0. この記事のポイント
1. 同業者団体等の会費が仕入税額控除の対象になるかどうかはケースバイケース
企業は、同業者団体など会費に支払っていることがあります。
このように同業者団体や組合などに支払う会費など は、仕入税額控除の対象になるでしょうか?
答えは…
仕入税額控除の対象になるかどうかは、一概には言えません。
(1) 会費に関する対価性の判断
この点、仕入税額控除の対象となるかどうかは、「その団体から受ける役務の提供など」と「支払う会費」との間に、明らかな対価関係があるかどうかによって判定します。
(2) 団体の業務運営に必要な通常会費(対価関係なし)
まず、その団体の業務運営に必要な通常会費について。
ここでの「通常会費」のイメージは、団体としての通常の業務運営のために経常的に要する費用をその構成員に分担させ、その団体の存立を図るというようなものです。
これについては、一般的には対価関係がありません。
そのため、同業者団体や組合などは資産の譲渡等の対価に当たらないものとして取り扱って差し支えないこととされており、この場合、その構成員(企業側)では、仕入税額控除の対象になりません。
(3) 研修などの会費(対価関係あり)
一方、例えば、セミナーや講座などの会費は、講義や講演の役務の提供などの対価であるため、課税仕入れとなり、基本的に仕入税額控除の対象になります。
そんな感じで、名目が会費等とされている場合であっても、それが実質的に出版物の購読料、映画・演劇等の入場料、職員研修の受講料または施設の利用料等と認められるときは、その会費等は課税仕入れとなります。
なので、実質判断ということです。
(4) 対価性があるかどうかの判定が困難なもの
会費のうち、対価性があるかどうかの判定が困難なものについては、その会費などの支払側(企業)と受取側(同業者団体や組合など)の双方が、その会費などを役務の提供や資産の譲渡等の対価に当たらないものとして継続して処理している場合は、その処理が認められます。
なお、このような会費については、同業者団体や組合などは、その旨をその構成員に通知するものとされているので、企業側としては、そういった通知を確認したうえで、仕入税額控除の可否を判断する必要があります。
2. 同業者団体等の入会金
もう疲れてきましたが、企業が同業者団体や組合などに支払う入会金のほうはどうでしょうか?
これは、会費と同様の判断になります。
つまり、役務の提供などとの間に明らかな対価関係があるかどうかによって判定するということです。
まあ、団体側の処理に従っておけばOKだと思います(投げやり)。
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。