第4回 CFC税制で外国関係会社の法人所得税に着目する3つの場面
ちょうど3月決算の申告も大詰めということで、このシリーズはタックス・ヘイブン対策税制(CFC税制)のポイントだけをお伝えしています。
Table of Contents
外国関係会社の法人所得税
今回取り扱うポイントは、外国関係会社の法人所得税についてです。
「どんな場面で」「どの事業年度の」法人所得税を見るか?
特に外国関係会社が合算課税の対象になる場合ですが、外国関係会社の法人所得税に着目する場面は多いと思います。
ただ、「どの事業年度の」法人所得税を見ればよいかは、ちょっと複雑な話になります。
(1) 租税負担割合の計算の場面
1つ目の場面は、租税負担割合の計算です。
分子に外国法人税の額があるので、外国関係会社が負担している法人所得税を見ないといけないですね。
この場面では、外国関係会社の決算に基づく所得の金額につき、その本店所在地国等において課される外国法人税の額を使います。
なので、外国関係会社が12月決算であれば、2019年12月期に対応する外国法人税の額です。ちょっと前にお話ししましたが、正確な計算は間に合わないことがあります。
(2) 適用対象金額の計算の場面
2つ目の場面は、適用対象金額の計算です。
適用対象金額の計算にあたっては、法人所得税が控除されます。
この場面では、租税負担割合の計算のときとは異なり、外国関係会社が各事業年度において「納付」することとなる法人所得税の額を控除することとされています。
つまり、こちらは多くの場合、前事業年度の確定納付税額と当事業年度の中間納付税額が該当するため、合算される当事業年度の所得には対応していないことになります。
なかなかややこしいですね。
(3) 外国税額控除の場面
3つ目の場面は、外国税額控除です。
タックス・ヘイブン対策税制により合算課税が発生する場合、合算課税の対象となった金額に対応する外国法人税の額を、日本企業が納付したものとみなして、外国税額控除を適用できます。
つまり、二重課税を解消できるってことですね。
それはいいんですが、この場面でも、外国税額控除の対象という意味で、外国関係会社の法人所得税を拾ってこないといけないですよね。
ただ、これもちょっとややこしくて、外国関係会社に対して課される外国法人税の確定のタイミングまでは、外国税額控除を待つ必要があります。
①内国法人の事業年度末までに課された外国法人税
シンプルなのは、合算課税の適用を受ける内国法人の事業年度終了の日までに、課税対象年度(適用対象金額がある事業年度)の所得に対して課された外国法人税です。
これについては、合算課税の適用を受ける事業年度で外国税額控除を適用できます。
②内国法人の事業年度末より後に課された外国法人税
一方、合算課税の適用を受ける内国法人の事業年度終了の日より後に、課税対象年度の所得に対して課された外国法人税については、合算課税の適用を受ける事業年度では外国税額控除は適用できません。
その外国法人税が課された日の属する事業年度まで外国税額控除の適用を待つ必要があります。1期遅れになるイメージですね。
外国税額控除の場面は特に危険
これ、絶対間違いますよね。
決算期の異なる複数の外国関係会社が合算課税の対象になっていて、それぞれ予定納税があって、その精算があって、還付もあったりして…
えー、これぐらいにしておきます。
今日はポイントの4つ目で、外国関係会社の法人所得税についてでした。
なお、このあたりのことが書いてある著書に関する記事はこちらです。
では、では。