電子帳簿保存法:重要書類のスキャナ保存でタイムスタンプが不要の場合
今日も電子帳簿保存法におけるスキャナ保存制度のお話です。
引き続き、重要書類のスキャナ保存の要件の関係ということで、今回のテーマは、タイムスタンプ付与の代替要件です。
Table of Contents
0. この記事のポイント
1. 重要書類のスキャナ保存の要件
重要書類をスキャナ保存するための要件については、以下の記事にまとめました。
2. タイムスタンプの付与
そこでは、「タイムスタンプの付与など」とシンプルに書きましたが、スキャナ保存する場合には、その国税関係書類に係る記録事項にタイムスタンプを付与することが要件として規定されています。
ただ、タイムスタンプの付与が絶対かというと、そんなこともないです。
3. 訂正削除履歴の残るシステム等への保存
具体的には、訂正削除履歴の残るシステムに保存することで、タイムスタンプの付与要件に代替できるケースがあります。
もうちょっとちゃんと書くと、国税関係書類について、
- 訂正削除履歴の残る(あるいは訂正削除できない)システムに保存する方法により、
- 入力期限内に記録事項を入力したことを確認することができる場合には、
- その確認をもって、当該タイムスタンプの付与要件に代えることができる
こととされています。
4. 時刻証明機能も必要
したがって、単に訂正削除履歴の残るシステムというだけでは不十分で、そのシステムに入力期限内に入力したことを確認できる時刻証明機能が必要になります。
具体的には、取扱通達で、他者が提供する一定のクラウドサーバにより保存を行い、そのクラウドサーバがNTPサーバ(ネットワーク上で現在時刻を配信するためのサーバ)と同期するなどにより、そのシステムに入力期間内に入力したことの確認ができるように、その保存日時の証明が客観的に担保されている場合などが該当することとされています。
国税庁の電子帳簿保存法Q&A(一問一答)【スキャナ保存関係】では、以下のように、もうちょっと具体的に書いてあります。
一番早いのは、システムのベンダーさんに確認することですね。
5. 自社システムは基本的に不可
国税庁の「お問合せの多いご質問(令和3年11月)」(詳細はこちら)では、自社システムにより、上記の要件を満たすことは基本的にできないとされています(例外は、時刻証明機能を他社へ提供しているベンダー企業)。
これは、自社システムにおいては、保存された時刻の記録についての非改竄性を完全に証明することはできず、保存日時の証明が客観的に担保されている場合に該当しないためです。
したがって、例外的なケースを除いては、自社システムを使用して保存要件を充足しようとする場合には、タイムスタンプを付与することが必要になります。
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。