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インボイス制度:任意組合等が適格請求書を交付する場合の各種届出書の提出方法

今日も、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)のことを書きます。

2023年10月に国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」が改訂されたので(詳細はこちら)、そこで新たに追加された項目について。

今回は、任意組合等に係る事業の適格請求書交付に当たっての各種届出書の提出方法です。すでに「お問合せの多いご質問」で回答済みだったものですけど。

 

1. Q&Aの設定

とりあえず、Q&Aの設定は以下のとおりです。

  • 当団体は、任意組合等に係る事業として適格請求書の交付を考えている
  • ただ、組合員に新たに事業を開始した者がいる(事業を開始した日の属する課税期間に当たる)
  • その組合員は、課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を課税期間の末日までに提出することで、課税期間の初日から登録を受けたものとみなされる事業者である
  • その組合員に限らず、組合員の加入・離脱が頻繁に行われることが予定される

1つ目のQは、この場合に、その新たに事業を開始した事業者について、登録申請書を提出していることを確認の上、「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」の登録番号欄を空欄で提出し、その組合員に係る登録通知書が届き次第、登録番号を別途提出することとしてよいか、というものです。

そして、2つ目のQは、「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出事項の変更届出書」は組合員の加入・離脱の都度提出しなければならないか、というものです。

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2. 前提となる知識

任意組合等が事業として行う課税資産の譲渡等については、その組合員の全てが適格請求書発行事業者であり、業務執行組合員が、その旨を記載した「任意組合等の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」(「任意組合等の届出書」)を納税地を所轄する税務署長に提出した場合に限り、適格請求書を交付することができます。

そのため、適格請求書発行事業者でない事業者が任意組合等の組合員となる場合、当該事業者が適格請求書発行事業者としての登録を受けるまでは、任意組合等の届出書は提出できないこととなります。

これが原則的な取扱いです。

3. 組合員に新たに事業を開始した事業者が含まれる場合の取扱い

一方、1つ目のQのように,適格請求書発行事業者でない事業者が、新たに事業を開始した者であるため(事業を開始した日の属する課税期間に当たるため)、当該課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を当該課税期間の末日までに提出することで、当該課税期間の初日から登録を受けたものとみなされる事業者である場合には、例外的な対応が許容されます。

具体的には、その事業者が登録申請書を提出し、課税期間の初日から適格請求書発行事業者の登録を受けることが見込まれる場合には、任意組合等の届出書における当該組合員の登録番号欄に「後日提出予定」などの記載を行った上で提出しておき、適格請求書発行事業者の登録通知があった後、速やかに任意組合等の届出書(次葉)等により、当該組合員の登録番号を提出することとして差し支えないそうです。

4. その事業者が登録できなかった場合

ちなみに、上記のような対応をとった後、仮にその組合員が登録拒否要件に該当し、適格請求書発行事業者の登録を受けられなかった場合には、それまで適格請求書を交付した任意組合等の事業に係る課税資産の譲渡等について、改めて「適格請求書ではない書類」を交付する等の対応が必要になります。

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5. 任意組合等の届出書に記載した事項に変更があった場合の取扱い

次に、2つ目のQについて。

任意組合等の届出書に記載した事項に変更があったときは、その旨を記載した「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出事項の変更届出書」(「任意組合等の変更届出書」)に、任意組合等に係る組合契約の契約書その他これに類する書類の写しを添付し、速やかに納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。

つまり、適格請求書発行事業者である組合員の加入や離脱などの変更があれば、その都度、任意組合等の変更届出書を速やかに提出する必要があります。

これが原則的な取扱いです。

一方、そうした変更が頻繁に行われるなど、速やかな提出が困難である場合には、任意組合等に係る一定の期間(「計算期間」)の末日までに、その計算期間内に生じた変更事項をまとめた一覧を添付の上、任意組合等の変更届出書を提出することで差し支えないこととされています。

そういう簡便的な取扱いが認められているということで。

今日はここまでです。

では、では。

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この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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