グローバル・ミニマム課税:⑨特定多国籍企業グループ等報告事項等(大綱)
一昨日(2022年12月16日)、令和5年度与党税制改正大綱が公表されたので、そのうち「グローバル・ミニマム課税への対応」という項目について、1記事あたり10分で(W杯決勝開始から逆算)、少しずつ書いています。
端的には、GloBEルール(第2の柱)のうちIIRに関するお話で、今回は情報申告制度(特定多国籍企業グループ等報告事項等)がテーマです。
これがこのシリーズの最後の記事です。
Table of Contents
1. 特定多国籍企業グループ等報告事項等
大綱では、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である内国法人は、「特定多国籍企業グループ等報告事項等」を、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に、e-Taxにより、納税地の所轄税務署長に提供しなければならないとされています。
「特定多国籍企業グループ等報告事項等」には、以下の情報等が記載されているようです。
・その構成会社等の所在地国ごとの国別実効税率
・その特定多国籍企業グループ等のグループ国際最低課税額
・その他必要な事項
・適用免除基準の適用を受けようとする旨
言語については、英語とされています。
また、特定多国籍企業グループ等報告事項等の不提供及び虚偽報告に対しては、罰則が設けられるようです。
2. 提供義務の免除
大綱によると、特定多国籍企業グループ等報告事項等について、特定多国籍企業グループ等の最終親会社等の所在地国の税務当局が日本の税務当局に提供できると認められるときは、その特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供義務者である内国法人の提供義務は免除されます。
この場合、提供義務が免除される内国法人は、最終親会社等届出事項を、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に、e-Taxにより、納税地の所轄税務署長に提供する必要があります。
最終親会社等届出事項というのは、その特定多国籍企業グループ等の最終親会社等に関する情報ということです。
その他、色々書いてあるので、大綱をご覧ください(←やる気が無くなってきている)。
3. 適用時期
上記の改正は、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)について適用することとされています。
今日はここまでです。
よし、W杯の決勝見るぞ(最後追い込んで間に合った)。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。