インボイス制度:仕入明細書による売上税額の積上げ計算の可否
今日も、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)のことを書きます。
2022年4月に国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」が改訂され(詳細はこちら)、そこで新たに追加された項目について。
今回は、仕入明細書による売上税額の積上げ計算の可否です。
Table of Contents
0. この記事のポイント
1. 売上税額の積上げ計算
適格請求書等保存方式における売上税額の計算方法については、割戻し計算を行うのが原則ですが、相手方に「交付」した適格請求書等の写しを保存している場合には、特例として積上げ計算も認められています(詳細はこちら)。
言い換えると、売上税額の積上げ計算を行うためには、適格請求書を交付して、その写しを保存する必要があるということです。
一方で、得意先の中には、仕入明細書にもとに支払ってくる先が含まれている場合があります。そういう得意先には、自社が適格請求書を交付しない(得意先に受けとってもらえない)ため、当然ながら、「交付した適格請求書の写し」の保存を行うことはできません。
問題は、このような場合に売上税額の積上げ計算を行うことができるのかどうかです。
2. 仕入明細書による仕入税額控除
前提となる知識ですが、買手側(得意先)において、仕入明細書を仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等とするには、仕入明細書の記載内容について売手側の確認を受ける必要があります(詳細はこちら)。
Q&Aでは、売手側が、確認のために取引先から受領した仕入明細書を保存していることが前提になっています。
3. 仕入明細書による売上税額の積上げ計算は可能
この場合の結論として、売上税額の積上げ計算を行うことは「可能」です。
一言でいうと、上記のような仕入明細書の確認作業を通じて、売手側と買手側の間で、仕入明細書に記載された消費税額等の情報が共有されることになるためです。
Q&Aの結論をまとめると、以下のとおりです。
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。