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佐和周のブログ

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オススメの書籍紹介:『海外進出企業の贈賄リスク対応の実務』

このブログでは、不定期でオススメの本をご紹介しています。

いま自分で本を書いているので、当面、そこに参考文献として挙げる予定の本について書きます。

今回は『海外進出企業の贈賄リスク対応の実務』です

今回は、『海外進出企業の贈賄リスク対応の実務』(ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業)、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー株式会社フォレンジックサービス 編)という本です。

 

これは2013年の本です。

なので、本を書くために読んだ本ではありません。過去に仕事をしていて、疑問点があったので、読みました。

ただ、この本から学んだことは多かったので、「今はあたかも自分の知識のように喋っていることも、実はこの本に書いてあった」という事態が発生してそうな気がします。なので、自分で書く本にも参考文献として挙げる予定です。

どんなことが書いてあるか

前置きが長くなりましたが、この本の内容について。

ざっくりいうと、「第1編 外国公務員への贈賄を処罰する主な法令」では、米国FCPA・英国Bribery Act・日本の不正競争防止法が解説されています。

「第2編 実効的なコンプライアンス制度の構築」では、業界別FCPA違反の執行事例(第4章)が挙げられていて、事例としてはちょっと古いですけど、「ああ、こういうリスクがあるんだな」というイメージはつかみやすいと思います。

また、同じく第2編のコンプライアンス制度導入の進め方(第6章)は、結構具体的に書いてあります。書かれているような高いレベルの実務を実現するのは難しいですが、例えば、「第三者(エージェント等)に対するデューデリジェンスの実施」など、部分的に取り入れられるところは多そうな気がします。

「第3編 汚職の疑いが生じた場合の対応」については、専門外なので何とも言えませんが、「第4編 アジア諸国の汚職関連法」はすごくいい情報があります。中国やインドに代表されるアジア諸国について、汚職の状況を具体的に書いてくれています。これもさすがに古いなと思うところはあるのですが、そういうのが懐かしかったりもします。最新の情報ではないことを差し引いても、この部分だけで十分価値があると思います。

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この本のすごいところ=詳しく書いてあるのに読む気が失せない

この本は、「贈賄リスク対応」だけで1冊の本になっているので、かなり詳しく書いてあります。

そして、具体的です。

例えば、以下の「第三者を利用した贈賄行為」なんかは、どういう状況に気を付けるべきかがはっきりわかります。

こういった第三者を介した払いの特徴としては、エージェントやコンサルタント等に蓋然性のある事業目的がない、具体的な成果物等の記載のない名目上の契約書が存在する等があげられる。(中略)当該手口には,以下の特徴がみられる。
(中略)
☑エージェントやコンサルタント等の第三者と正式な契約が締結されていない場合がある。
☑エージェントやコンサルタント等の第三者と契約が締結されていたとしても契約上の文言が漠然としている。また,提供を受けるサービスの内容や成果物に関して非常に抽象的で暖昧な表現しか記載されていない(例:マーケティング支援業務等)。
☑エージェントやコンサルタント等の支払いが取引を行った場所以外へ行われている。また、高額な報酬が、社内の決済ルールが簡便なもので済むよう複数の契約に分割され支払われている場合もある。

この部分、初めて読んだときも「ああ、そうだな」と思いましたし、読んでから実務をやってきても、「ほんと、そうだな」と思います。

しかも、この本、ややこしい内容が書いてある割には、何となく気軽に読めるんですよね。

私の場合、通常、法務の本は途中で読む気が失せますが、この本ではそれが発動しませんでした。接続詞とか語尾が普通だからかもしれません。

なので、もし贈賄リスクに関心があったら、読んでおいて損はない本だと思います。

やっぱり海外子会社の贈賄リスクへの対応は重要

ちなみに、私のように数字を扱う仕事をしていても、法務の面で、贈賄リスクと競争法への抵触リスクは常に気にしています。

しかも、贈賄リスクのほうは、海外子会社から出金があるので、ある意味、資産の流用(横領)などの一般的な不正とチェックの仕方が似ています。

なので、海外子会社の損益計算書や費用明細を見ている人たちは、この本の内容を予備知識として入れておいたほうが安全だと思います。

あんまり知りすぎると、疑心暗鬼になりますけどね。

ということで、今日はここまでです。

では、では。

 

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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