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佐和周のブログ

雑感

オススメの書籍紹介:『国際取引と海外進出の税務』

先週、企業の方と雑談している中で、このブログについて、「読者に寄り添っていない」というご指摘を頂きました。ブログって、誰かに寄り添う気持ちで書くものだったんですね。

頂いたリクエスト

そういうプレッシャーのもと、「オススメの本を教えてください」というリクエストを頂いたので、今後、このブログでいくつかご紹介していきたいと思います。たぶん週末に。

で、どういう本をピックアップしようかと思ったのですが、これがちょっと難しくて。。。

例えば、子供と一緒に読むなら、『きんぎょが にげた』とかオススメなんですけどね。子供は絶対食いついてくるし、いっぱい話ができるので。

 

でも、文脈から、そういうリクエストじゃないんだろうと判断しました。

今日の1冊は『国際取引と海外進出の税務』です

なので、今日は「自分が関係するジャンルで、自分には絶対に書けない本」という視点で、1冊選んでみました(『きんぎょが にげた』も当てはまりますが)。

国際税務を勉強するときに読むべき本ということで、『国際取引と海外進出の税務』(税務研究会出版局)です。

 

これは、私が監査法人から税理士法人に移ったときに、税理士法人の先輩に薦めてもらった本です。

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どんな感じで書いてあるか

この本の具体的なイメージをつかんで頂くために、1つの例をご紹介します。

本書の「第2部 外国法人の対内取引」の「第1編 恒久的施設を有しない外国法人」では、日本にPEのない外国法人に対する様々なタイプの課税が解説されています。

そのなかに「第7章 知的財産に関する課税」という章があり、使用料などに対する課税が解説されています。もうちょっと細かくいうと、「第2節 ランニング・ロイヤルティを受け取る」という節があるのですが、そこでは以下のような流れで解説されています。

(a) 国内税法の定め
 (i) 所得税
 (ii) 法人税
 (iii) 消費税
(b) 租税条約の定め
 (i) 所得の源泉地の定めと減免規定
 (ii) 適用の手続
(c) 日本側当事者の税務

(注)実際には、国内使用と国外使用の場合など、もっとちゃんと場合分けしてあります。

うーん、キレイな構成。この骨組みだけで、いい本だなとわかります。

多くの場合、皆さんの立場は、使用料を受け取る外国法人ではなく、使用料を支払う内国法人(日本企業)の側だと思います。その場合、押さえるべきは源泉徴収の要否ですが、それは上記の「(c) 日本側当事者の税務」に書いてあります。(a) 国内税法の定めだと、20.42%で源泉徴収だけど(国内使用の前提)、(b) 租税条約の定めで減免されることがあるってことですね。

でも、その判断は、ほんとは「外国法人に所得税が課されるか」という判断がベースにありますよね。「外国法人に所得税が課されるから、日本企業の側で源泉徴収が必要になる」という流れです。

つまり、上記の(c)を考えるためには、(a)と(b)が基礎になるってことで、複雑な事案を考えるときには、こういう理解がすごく大切になると思います。

それと、実際のお仕事では、「相手方(外国法人側)に日本での法人税等の申告義務があるのかどうか」なども知っておかなければなりません。相手方が欧米系でちゃんとしてたら、聞いてきますよね。この点は、上記の「(a) 国内税法の定め」の「(ii) 法人税」の部分に解説されており、使用料であれば、PEのない外国法人は法人税の課税は受けません。なので、普段はあんまり考えておられないと思いますが、その他の所得の種類だと、もうちょっと考えないといけないですよね。

このあたりの色々なモヤモヤ、この本を読めば、かなりスッキリすると思います。

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脚注もちゃんと読む価値アリ

ちなみに、税理士法人の先輩のアドバイスは、「脚注で紹介されている書籍等まで遡って読むといい」ということでした。

本書が参照している書籍等には、またいいものが多いんですよね。そういう使い方もできるので、ゆっくり読む価値のある本だと思います。

そうこうしているうちに、自然と「国際税務」というものに慣れてくるはずです。

どちらかというとインバウンド

本書の特徴ですが、個人的な感想としては、アウトバウンド(日本企業の海外進出)よりはインバウンド(海外企業の日本進出)のほうが内容が充実していると思います。

あんまりほじくり返したら怒られそうですが、本書の旧タイトル(?)は『外国企業との取引と税務』なので、基本コンセプトもそんな感じじゃないでしょうか。

もちろん、アウトバウンドの話もちゃんと書いてあります。念のため。

絶対に真似できないポイント

この本のいいところですが、ズバリ「バランス」の良さですね。これが絶対に真似できないポイントです。

ある程度わかりやすく書いてあるのですが、それだけじゃなく、突き詰めるところは突き詰めています。この突き詰める部分の選択が秀逸で、そこが素晴らしいと思います。

また、全般的に、いい意味でネチネチ(?)解説してあるので、「論理の飛躍があってわからない」ということがないです。

国際税務って、基本的な考え方を身に付けるまでが一番大変だと思います。「どういう手順に沿って考えるか」がわからないと、無駄に複雑に考えてしまうので。この本は、そういった「国際税務の考え方」を学ぶのに最適だと思います。

今日はこのあたりで。またオススメの本があれば、書いていきたいと思います(以下の記事にどんどん追加していきます)。

 

では、では。

 

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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