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佐和周のブログ

雑感

オススメの書籍紹介:『国際取引の消費税QA』

オススメの本をこのブログでご紹介していくことになっていたのですが、そのことをすっかり忘れていました。

今回は『国際取引の消費税QA』です

何冊目か忘れましたが、今回は『国際取引の消費税QA』という本です。

 

言わずと知れた上杉秀文先生の本ですね。

オススメというよりは、国際税務をやる人にとって、消費税といえばこの本しかないです。もう通達以上の存在といってもいいんじゃないでしょうか。

なので、七訂版は800ページを超えていますが、それでも新しいものが出たら読まざるをえないという…

知りたい情報が書いてある

国際取引に関する消費税の問題は非常に難しいものです。少なくとも、私にとってはそうです。

その要因の1つとして、法人税に比べて、圧倒的に情報が不足している点があります。通達を見ても、逐条解説を見ても、知りたいことは書いてないですし、誰もそれを解説しようとしないというのが実態かと思います。

「国際税務」というと、やっぱり「法人税」なので、専門家は法人税に関する情報を出しますよね。移転価格税制もそうですし、タックス・ヘイブン対策税制もそうです。私もなかなか消費税のことを書こうとは思わないので、人のことは言えません。

一方で、実務では、日々消費税の判定をしなければなりません。判断に迷うことも多いでしょう。

そこで、『国際取引の消費税QA』です。

そういうときにこの本を開くと、知りたい情報がそのまま見つかることが多いです。QA形式で、とにかくQの数が多いので。また、ピッタリのQがなかったしても、類似するQから考え方のヒントを得られることも多いと思います。

さすが800ページ超。

なお、急ぎの調べ物があるときでも、この本を急いで持ち上げるのは危険です。まずは手首を軽く回すなど、準備運動をして(必要に応じてテーピングで手首を固定して)、それからゆっくりと持ち上げるようにしてください。

ちゃんと場合分けされている

もう1つ、国際取引に関する消費税の問題が難しいのは、取引の経済的実質が同じであっても、取引形態や契約書の文言などで判断が変わってくるという要因もあります。

私がお仕事で消費税のコメント(軽いもの)を求められた場合にも、「こういう前提なら結論はこうなりますが、仮に契約書にこう書いてあれば、結論はそれとは異なります」的なコメントを返すことが多いです。また、しっかり判断する必要があれば、必ず契約書を見せて頂いて、「契約書にどう書いてあるか」も考慮した上で判断します。

例えば、役務提供取引の内外判定をするときには、契約書上で「対価が国内分と国外分が区分されているかどうか」によって、判定が変わりますよね。そんな感じです。

そうすると、国際取引に関する消費税の本をQA形式で書くのであれば、Qに対するAは、ちゃんと「場合分け」されている必要があります。

この本は、そういう場合分けが秀逸なんですよね。あれだけ膨大なQがあるのに、1つ1つのAがしっかり書かれているという、このクオリティがすごいです。

例えば、海外との関係では、立替払いの取扱いに悩むことが多いと思います。「AがBに役務提供を行って、BがCに役務提供を行った」のか、あるいは「Bが立替払いしただけ」なのか等々のお話です。

こういうのも、この本では、ではちゃんと場合分けされています(「全体をまとめて請求しているケース」と「実費立替部分と手数料部分を分けて請求しているケース」など)。すごいなあ、といつも思います。

税務調査のときに頼りになる

さらに、この本は、税務調査を受ける際にも頼りになります

国際取引に関する消費税は、判断に迷うことが多いので、自社が誤っている場合だけでなく、取引先の請求書が間違っている場合もあり、税務調査で指摘を受けることも相対的に多いと思います。

そういうとき、「上杉先生がこう書いておられますが」と反論できれば、だいたい何とかなります

「上杉先生」って、調査官も絶対知っていて、もう固有名詞じゃなくって、一般名詞レベルといっても過言ではないです。

また、指摘事項が上杉先生の書かれた内容に沿っていれば、「これはもうギブアップしましょうか」とあきらめるときの指針にもなります。

さらに言えば、調査官にネチネチ言われて、我慢の限界が来たら、最悪この本は「鈍器」ですからね(ただし、繰り返しになりますが、持ち上げる前に手首の準備運動を忘れずに)。

そういう意味でも、文字どおり、頼りになる「武器」、じゃなかった「本」だといえます。

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絶対に真似できないポイント

このシリーズでは、自分が本を書くときに真似できないポイントを挙げているのですが、この本の場合、絶対に真似できないポイントが無数にあります。

というか、真似しようという気すら起きない。

ただ、その中で敢えてポイントを1つ挙げるなら、豪快に私見が書いてあることでしょうか。

上で書いたとおり、国際取引に関する消費税の問題は、とにかく参照できる資料が少ないです。そんななか、判断に迷う事例について、豪快に私見を書いてくれる専門家がいれば、その存在は貴重ではないでしょうか。

しかも、上記のとおり、上杉先生の私見は、もはや私見の域を超えているという。

やっぱり、上杉先生のご経験はもちろんのこと、消費税の全体像の理解があるがゆえに、説得力のある私見が書けるのだと思います。

一度、電気通信利用役務の提供について、当局に照会した際、当局の回答と上杉先生の見解が異なっていたことがあり、どっちに従おうか真剣に悩みましたからね。

明らかに上杉先生の見解のほうがロジカルという… こういうの、悲しくなりますよね。

やっぱり、もうこの本が通達ということでいいと思います。

 

最後に

『国際取引の消費税QA』を本棚から出した際に手首を痛めたので、今から病院に行ってきます。

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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