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電子帳簿保存法

電子帳簿保存法(電子取引):電子データの保存に係る宥恕規定

今日も電子帳簿保存法における電子取引の制度のお話です。

今回は、国税庁の電子帳簿保存法Q&A(一問一答)【電子取引関係】をもとに、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に関する宥恕規定について、簡単に書きます。

0. この記事のポイント

電子取引のデータ保存に関しては、宥恕規定があります。具体的には、災害その他やむを得ない事情により、保存要件に従って電磁的記録の保存できなかったことを証明できる場合、要件を満たしていなくても、電磁的記録の保存ができます(保存義務自体が免除されるわけではない)。宥恕規定なので、本来適用されるケースは限定的なはずですが、2021年12月改正の施行規則により、現在は余裕で適用可能な状況です。

 

【2021年12月追記】
財務省が電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(を改正する省令)を12月27日付で改正しました。新しい宥恕規定については、以下の記事をご参照ください。
施行規則の改正で電子取引に係る宥恕措置が反映されました

 

1. 宥恕規定

宥恕というのは、「寛大な心でゆるすこと」です。いいですねー。

税務の世界だと、「本来はアウトだけど、セーフでいいよ」みたいな感じです。

電子取引に関する宥恕規定は、具体的には、施行規則(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則)の第4条第3項に規定されています。

以下に抜粋します。

法第七条に規定する保存義務者が、電子取引を行った場合において、災害その他やむを得ない事情により、同条に規定する財務省令で定めるところに従って当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明したときは、第一項の規定にかかわらず、当該電磁的記録の保存をすることができる。ただし、当該事情が生じなかったとした場合において、当該財務省令で定めるところに従って当該電磁的記録の保存をすることができなかったと認められるときは、この限りでない。

2. 宥恕規定の意味合い

上記の宥恕規定の意味合いは、災害その他やむを得ない事情により、保存要件に従って電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明した場合には、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件を満たさなくても保存ができるということです。

ただ、宥恕規定なので、適用されるケースは限定的です。

また、宥恕規定を使える場合でも、保存義務が免除されているわけではないので、(通常の保存要件を満たせなくても)電磁的記録の保存自体は行う必要があります。

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3. 国税庁のQ&A(一問一答)に書いてあること

この点、国税庁のQ&A(一問一答)には、電磁的記録を完全に消失してしまっているケースにも言及があります。

具体的には、まず、電磁的記録については、災害等によりデータを保存していたパソコン本体が棄損した場合等、紙に比べてその確認が困難となる場面も多く想定されるとしています。

そして、納税者の責めに帰すべき事由がないときには、単に電磁的記録が存在しないことのみをもって、義務違反を問うことはないと書いてあります。よかったですね。

もう1つ、この場合、「可能な範囲で合理的な方法(取引の相手先や金融機関等へ取引内容を照会するなど)により保存すべき取引情報を復元していただきたいと考えています」とのこと。

国税庁って、こんなキャラでしたっけ? まあ、いいや。

今日はここまでです。

では、では。

電子帳簿保存法に関するオススメの書籍です(私の本ではないです。第2版の紹介記事はこちら)。

第3版 電子帳簿保存法の制度と実務(Amazon)

 

■電子帳簿保存法の電子取引に関する記事の一覧はこちら

 

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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