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佐和周のブログ

移転価格税制の基礎

第22回 差異調整における統計的手法の適用(2019年度税制改正)

前回は英語のお話を挟みましたが、その前には、久々に差異調整について確認しました。

だいぶ前に、(1)貿易条件の差異調整、(2)決済条件の差異調整、(3)値引き・割戻し等の差異調整、(4)機能またはリスクに係る差異調整などをお伝えして、それに運転資本に係る差異調整を追加した感じです。

 

定量的に把握することが困難な差異が存在する場合の取扱い

取引単位営業利益法を含む一定の独立企業間価格の算定方法に関しては、2019年度税制改正において、この差異調整に関する規定の整備が行われています。

一言でいうと、差異調整にあたって、四分位法を使った中央値による調整を行うことができるようになりました。どうもこれを「統計的手法」と呼んでるみたいです。

どのような場面で検討する話なのか

まず、どういう状況が想定されているかというと、上記で触れた差異により生じる利益率等の差を調整しても、なお「定量的に把握することが困難な差異」が存在する場合です。

前提として、比較対象取引が複数(4以上)あることを想定してください。

もう1つの前提として、調整できる差異は先に調整します。

そして、その調整後の利益率等「調整済割合」に対する「定量的に把握することが困難な差異」の影響が「軽微」であれば、四分位法を使った中央値による調整を行うことができることとされています。

「それがどうした?」と思われるかもしれませんが、2019年度税制改正前は、このような状況では、以下のような判断の流れになっていました(あくまでも概念的にですが)。

定量化できない差異が存在する
➡ 差異調整ができない
➡ 比較対象取引が存在しない
➡ 独立企業間価格が算定できない

これに対して、改正後は、「定量化できない差異が存在する」場合であっても、四分位法を使った中央値による調整ができるケースが規定されたという整理になります(もちろん、その影響が軽微でなければ、従来どおりの取扱いです)。

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中央値による調整

ここで、「中央値」というのは、データを小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中になる値のことです。

つまり、「中央値による調整」ということは、結果はレンジではなく、1つのポイントに決まるということですね(ポイントで算出されるといっても、四分位レンジ内に価格や利益率がある場合には、移転価格税制の適用がないのは同じなので、念のため)。

四分位数・四分位法・四分位レンジ

また、上記ではさらっと書きましたが、「四分位法」という用語は、それほど一般的なものではないかもしれません。少なくとも、私は今週、一度も使っていません。

一般に、「四分位数」というのは、データを小さい順に並べて、それをデータの数で4等分したときの区切り値のことです。

そして、「四分位法」というのは、比較対象取引のデータの数の上位25%と下位25%を除外した、残り50%(つまり、真ん中の50%)から構成されるレンジ (「四分位レンジ」)を抜き出す方法をいいます。

ちなみに、四分位レンジに対して、比較対象取引のデータの全体(100%)が「フルレンジ」です。このあたりもよく出てくる用語かと思います。

フルレンジとか言うと、移転価格っぽくって、カッコいいですね。

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定量化できない差異の影響は「軽微」か

ちなみに、定量的に把握することが困難な差異の影響が「軽微」かどうかについては、個々の事案の状況に応じて 判断する必要があるとされています。つまり、具体的なガイドラインがあるわけではありません。

そもそも定量的に把握できない差異について、影響が軽微と判断できるのであれば、それは定量化できている証のような気もしますが、そんな論理矛盾なんか全く気にせずに進みましょう。

中央値による調整が行われる場面

上記のとおり、定量的に把握することが困難な差異「以外」の差異が調整対象差異に含まれる場合で、その差異が通常の利益率等の算定に影響を及ぼすことが客観的に明らかなときは、普通に差異調整を行います。

そのため、この中央値による調整が行われる局面というのは、以下のように整理できるのではないかと思います。

  • 調整対象差異により生じる割合の差を調整するための情報が一定程度入手可能であり、
  • 相当程度の調整を行うことが可能であるものの、
  • 一部が入手不可能な情報があり、
  • 調整対象差異により生じる割合の差を全て調整することが困難な場合
  • 今日はここまでです。

    では、では。

    ■移転価格税制に関するトピックの一覧はこちら

     

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